昨日の東京大地塾でロシアのパノフ元大使が講演して下さったが、長い外交官としての経験に基づいたお話し、現在ロシアアカデミーで、また、モスクワ国際関係大学、ここはキャリア外交官を育てる大学だが、そこの外交官学科の学長として活動している現役の外交専門家として日露関係を考える大変奥深い示唆に富んだ講演で終わった後、多くの人から「ウクライナの歴史、日露の善隣関係、良く判りました。勉強になりました」と声をかけられた。サプライズゲストに心から感謝したい。
 択捉島を訪問したロシアのセルゲイ・イワノフ大統領府長官は日本政府の抗議に対して、24日ウラジオストックで「訪問する度に日本の抗議や遺憾表明を聞いている。私は生涯を通じて忍耐強く聞く用意がある」と記者団に述べたと報道されている。
 直接的な表現で主張するのではなく、冷静に大人の対応をした言いぶりである。
 日本の司々つかさつかさの人も考えてものを言った方が信頼関係に結び付くと思うのだが。
 官僚の作った杓子定規しゃくしじょうぎ的ペーパーをストレートに言うのではなく、種々考えて幅を持った表現をすることにより先に繋がって行くのではないか。
 イワノフ大統領府長官は択捉島でロシア政府は2016年から2025年までにクリル発展計画に684億円ルーブル約1935億を投じインフラ整備、漁業振興等を行うことを明らかにしている。島のロシア化が一層進む。
 戦後69年、島に住んでいるロシア人は島で生まれ育った人が多くなり、故郷になってきている。
 ウクライナ問題で欧米に引きずられ、経済制裁しても日本にとってプラスはない。その経済制裁はロシアにとって痛くも痒くもないものである。
 それならばしない方がよい。不快感を与えないことが信頼関係が築けるのである。
 ただ指をくわえているのではなく、打って出るべきだ。一日も早い次官協議・外相会談・首脳会談へと知恵を出してほしいものである。