東京新聞5面「『歳費減額終わる』『身を切る』は空約束か」という社説に目が止まる。読者の皆さんに全文紹介したい。



 「身を切る改革」は空約束だったのか。二割減額されていた国会議員の歳費を五月から元の額に戻すという。消費税増税をはじめ国民の負担が増えている最中だ。特権意識に毒されてはいまいか。

 国会議員の給与に当たる歳費は通常、月額百二十九万四千円。賞与に当たる年二回の期末手当を加えると年間約二千百六万円に上るが、四月までは20%、年間約四百二十万円が減額されていた。

 二〇一一年三月に起きた東日本大震災の復興財源に充てるためにまず約13%が削減され、一二年の衆院選直前には、議員定数削減が実現するまでの間、「身を切る姿勢を示す」として約7%の削減が上乗せされたためだ。

 ただし四月末で期限が切れた。日本維新の会、みんなの党、結いの党は削減幅を30%にする法案を衆院に共同提出、公明党も7%の減額は続けるよう主張したが、新たな立法措置に至らなかった。

 そもそも国会議員の歳費は、主要国の中では高水準とされる。

 歳費以外にも議員には、非課税で領収書の添付義務のない「文書通信交通滞在費」が年間千二百万円支給され、公設秘書三人の給与は国費で賄われる。議員の所属会派には一人当たり七百八十万円の立法事務費、各政党には合計三百二十億円(共産党は請求せず)の政党交付金も支給される。

 財政状況が厳しい折だ。国から得るお金は減らす方向に、と考えるのが筋ではないのか。時間切れを待ち、手取りを増やそうというのは、いかにも狡猾こうかつだ。

 歳費の減額継続に難色を示す自民党は「議員が生活に困窮するのはいかがか」(石破茂幹事長)と説明する。真に受ける国民が、どれほどいるのだろうか。

 四月の消費税増税だけでなく、年金保険料も引き上げられた。復興財源捻出のため、所得税の2・1%上乗せは昨年一月から二十五年間、個人住民税の一律千円上乗せも今年六月から十年間続く。

 国民の負担は増すばかりなのにその痛みを共有しようとせず、国民の代表といえるのか。そもそも7%削減は議員定数を削減するまでの「代替措置」でもある。議員定数の安易な削減には反対だが、約束を守れない国会議員など国権の最高機関の名に値しない。

 歳費の減額を続けるのは当然として、政党交付金などの削減にも努めるべきではないか。国民が「政治とカネ」に向ける視線は依然厳しい。すべての国会議員がいま一度、襟を正さねばならない。



 この通りだと思う。国民に負担を課した消費増税の法案を作ったのは、衆・参国会議員である。

 国民に負担をお願いしながら自分達は定数削減もせず、特権的待遇に甘んじているのは国民から理解されるものではない。

 血を流し、身を削る下から目線の国会議員の出現を願ってやまない。