残念というか、厳しく言うならば「とんでもない」と言った方が判りやすいと思うが、袴田事件判決に検察は昨日、即日抗告をした。
 静岡地検の西谷隆次席検事が「決定はDNA鑑定に関する証拠の評価などに問題がある。各種の証拠について合理的な根拠もないのに警察によって捏造された疑いがあるとしており承服できない」と文書でコメントした。(東京新聞26面)と出ている。
 文書で一方的な自分達検察の主張をするならなぜ堂々と記者会見し検察の考えを述べないのか。上から目線の権力を笠にしたやり方である。
 検察側が自信があるなら裁判で国民周知の中でさまざまなやり取りをすればよいのではないか。
 48年間、堀の中におかれ、自由の身となっても衆人環視の中にいる袴田さんである。何も逃げ隠れする人ではない。又、人生限られた年齢になって来ている。いたずらに時間をかけるのではなく、地裁の再審開始を真摯に受け止め、粛々と真実を明らかにしていくのが全うな考えでないか。
 無罪の証拠が十分そろっているにもかかわらず、検察の面子、独りよがりの意地で特別抗告されたのでは税金の無駄遣いである。検察の悪しき体質を正すべく国民から選ばれた国会議員は立ち上がってほしいものである。
 48年振りに見る「桜」に袴田さんはどんな思いでいるだろうか。貴重な、尊いかけがえのない「時」を堀に閉じ込めていた責任を検察はもっと人間味を持って受け止めてほしいものである。