昨日、ロシアのプーチン大統領と韓国のパク・クネ大統領がソウルで首脳会談を行った。
 共同声明の中で「歴史退行的な言動により醸成された障害のため、北東アジアの強い協力が完全には実現できていない」と日本をけん制したとマスメディアは報じている。
 あたかもロシアと韓国が歴史認識で一致したかのように出ているが、韓国での韓ロ首脳会談であり、ホスト国の立場が配慮されるのは当たり前だ。
よく振り返って考えてほしいのは、ロシアが靖国問題・戦争責任について表だって声高に言ったことがあるだろうか。この点良く認識すべきだ。
 韓ロ首脳会談の共同声明には「シベリア極東開発で幅広く協力」とある。鉄道・電力供給・ガスパイプライン計画等、日本が持っている応用技術を活かせる案件である。
 私から見れば、プーチン大統領のシグナルと受け止める。日本が極東シベリア開発にもっと出てほしい。経済共同活動をしてほしいというメッセージと思っている。
 プーチン大統領は「礼に始まり、礼に終わる」、日本の古来の武道を知っている。ご自身が柔道家である。日本に対する思いがある。
 韓ロ首脳会談の共同声明は共同声明として、日本はこれまでの日露関係を更にダイナミックに進めるにはどうしたら良いか考えるべきでないか。
 来年2月のソチオリンピックに安倍首相は出席し、北方四島での共同経済活動、北方領土の現実的解決に向けたカードを切ることである。
 安倍首相こそ新しい歴史を作れる人だと信じてやまない。
 北方領土に関連する出来事として、国家安全保障会議の初代事務局長に谷内正太郎内閣官房参与(元外務事務次官)を起用すると各報道機関が打っている。以前から最有力と見られていたが、本命がそのまま決まったことである。
 谷内さんはバランス感覚の優れた人と私は認識している。2001年版(平成13年版)外交青書、外務省によって作成される日本の外交記録白書(青書で閣議決定)を出すにあたり、谷内正太郎氏は当時、日露関係の欄で私の名前を青書の中に出しても良いかとその時、船越秘書官を通じてご丁寧に連絡を下さったものである。そうした誠実さ、人間性を持った人の起用は打って付けで、余人をもって代えがたいと言って良いだろう。
 谷内氏は11日、都内での講演で「北方領土問題について『どういう形の『引き分け』であれば(日露)両国民を説得しうる内容になるか話し合おう、とロシア側に持ちかけるべきだ。対話の窓口を開ける機会をきちっとつかむ外交をやっていかないといけない』と述べた。(読売新聞11月12日4面)
 谷内氏は外交のなんたるかを、国益のなんたるかを一番よく知っている人である。安倍首相や菅官房長官の目の付けどころ、観点に敬意を表したい。
 北方領土の現実的解決に向けて大きく動くことを期待するものである。