鳥はなぜ空を飛ぶのか

     三森至樹


空飛ぶ鳥を見て考えた。
鳥はなぜ空を飛ぶのか。

長いことわたしが考えてきたように、彼らは、
決して生存競争の厳しい地上から逃れて、生きる場所を空に見出そうとしたからではない。

そうではなくて、
彼らは、空から下を見下ろし、世界を広く見渡せるような視点を持ちたかったからなのではないか。
その意欲が彼らを飛ぶようにさせたのだ。
彼ら鳥たちは、空からの視点を獲得するために、多くのものを犠牲にして、飛ぶことを欲したのだ。

言い換えれば彼らは、生き延びるために犠牲を払ったのではなく、
空を飛んで、そうでなくては得られない生の視点を獲得するために、飛ぶことを欲したのだ。

つまり、生き延びるためではなく、より良く生きるために、
多くのものを犠牲にして、飛ぶことを選び、欲したのだ。

鳥が飛ぶこと。
そこにはよりよく生きることへ向けた、
「力への意志」の一つの表現がある。
そしてそのことによって、
生きるものの生の可能性が一つ開けたのだ。

今はそう思える。