怪談話じゃないけど

 もう去年のことになるが、ヤフーニュースにちょっと面白い記事が載った。
 東北地方のある町の警察署で、110番の電話が鳴った。それで警官が出てみたが、誰も何とも言わない。間違い電話かなと思って切ったが、同じことが何回か続いた。そこで、たちの悪いいたずらだと思った警察は、どこからその電話が発信されているのかを調べた。するとあることが分かってきた。その110番の電話は、町外れにぽつんと一軒建っている古い別荘からかけられたということ。しかもその別荘は空き家で、今はだれも住んでいないこと。
 警察はいろいろ捜査したが、結論としては、電話線の接触の具合が悪くて、間違って110番につながってしまったらしいということになった。
 しかし何でまた、誰もいない家から、よりによって警察に電話がつながってしまったのだろう。そこには何か怪談めいたことがあったのではないかと、そう想像もできる。たとえば、その別荘で殺されるなり、自殺するなり、無念の死を遂げた人間がいて、その人間が助けを求めて110番したとか。その場合、その電話は死んだ人間からのメッセージとなって、怪談っぽくなるだろう。
 もちろんそのニュースはただ、無人の別荘から110番という事実を伝えただけで、それ以上のことは何もなかった。ごく短いニュースだが、それだけに、その背景について読者の想像をかき立てるものがあった。