初夏となり
弁天池にも蓮の葉が広がっている。
(弁天池とは鶴見総持寺の近く、
住宅街の中にある小さな池だ。
その周りは小さな公園となっている)
池の水面の三分の二ほどを、
丸い蓮の葉が覆っている。
そして蓮の葉の間から
点々と薄い赤色の蓮の花が顔を出している。
すっかり開いたのもあれば
まだつぼみのもある。
わたしはベンチに座って
ぼんやり池を眺めている。
すると池を挟んだ向こうの道を
自転車でやってきたおばさんが立ち止まって、
同じように池を眺め出した。
初夏となったが
この数ヶ月続いてきた体の痛みが
まだ完治しない。
それでも通りを歩いていると、
目の前の空中をツバメが二羽飛び過ぎた。
「ああ、ツバメだ」
わたしは思わずつぶやいた。
季節感の乏しくなった街に
ツバメは珍しい。
さらに歩いていくと
黒い喪服を着た女性が歩いてきた。
悲しみの表情は別に浮かべていない。
湿った暖かい風が吹いている。
街路樹がザワザワいっている。
どうやら天気は下り坂らしい。
夜には雨になるかもしれない。