昔、ルキノ・ヴィスコンティの「ベニスに死す」という耽美映画があった。
1970年ごろのことで、わたしは高校生だった。
それは、老芸術家G.アッシェンバッハが、避暑に訪れたベニスで美少年に恋をして、破滅していくという「キモい」内容の映画だった。
その当時わたしはけっこうこの映画に入れ込んで、その挿入音楽のマーラーの交響曲も、レコードを手に入れて繰り返し聞いたりしたものだった。
しかしあるとき、それはテレビで「タモリ倶楽部」を見ていたときだったかもしれないが、この「ベニスに死す」の、ダーク・ボガート演じる芸術家アッシェンバッハが、フォークシンガーのなぎら健壱にそっくりということに気づいた。
アッシェンバッハ=なぎら健壱?
なぎら健壱!
そこでわたしにとっては、「ベニスに死す」は、わたしがその美にのめり込める「耽美映画」ではなく、お笑い「ベニスに死す」と変わり果てたのだった。
なぎら健壱が悪いのか、ヴィスコンティの罪なのかは分からない。