生きることは大きな矛盾の中で存在することだ。
 わたしたちは他者と戦い、彼らを殺して食べることで生き続ける。わたしたちはどこまで行っても殺人猿なのだ。だからわたしたちが今存在するのは、スタンダードな当たり前のことではなく、殺されずに殺し、食うことができて命をつなぐことができたという、希有の僥倖なのだ。
 わたしたちは殺人猿としての冒険をして生き続ける。それは常に生きるか死ぬかの冒険だ。 
 だからそれに失敗して、生きる力を失い、たとえば自殺によって生を終えたとしても、それは自然の成り行きであって、道徳的にどうこう言うことではないだろう。
 生きることは難しい。生きることは当たり前のスタンダードではない。それに失敗することは普通のことだ。
 生き続けている者で、生きることの難しさに絶望しているものの嘆きを理解しない者こそ、つまり生き続けることを義務として押しつけ、生き続けることを強いる者こそ罪深い。
 自殺は失敗でも、罪でもない。それは僥倖に恵まれなかったという偶然に過ぎない。
 繰り返し言うが、人が生きることは難しい。それに失敗したからといって、それは罪でも恥でもない。