(拙作の解説をご覧になる方は、少し下にスクロールをお願いいたします!)
2025年12月14日に、「趙VS高橋 ~ 二人の作曲家が率いる音楽家チームバトル」というコンサートを開催いたします。発案自体は趙さんと高橋くんですが、久方ぶりに運営にも関わっておりますので、こちらで告知させていただく次第です。演奏会に際し、音楽家同士のチームバトルを主たるコンセプトに掲げている点がユニークかと思います。また、コンサートを通じて多文化交流が促されていることも特筆すべきポイントではないかと考えております。詳細は下記をご覧ください。
【コンサート概要】
〜趙VS高橋〜
日時:12月14日(日)
開場:18時45分
開演:19時15分
場所:Karura Hall(小田急電鉄小田原線経堂駅徒歩15分)
チケット料金:学生1500円/大人2500円
(当日券500円増)
▼プログラム
・趙祥旭 - 「無双の巨大キュウリ」(2025) Fl, Ob, B.Sax
・永井宏祐 - 「Chasing a ghost」for Horns (2025)&新作 S.Sax, A.Fl
・高橋陽 - 「無伴奏バスフルートソナタ第1番」(2025) B.Fl & 「杉本能の肖像」(2025) Bs.Cl, Bar, Pf
・こいけみふう - 「少女と雨」(2025) Sop, Piano&「日比谷」(2025) Voice1~4
・杉本能 - パウル・クレー「ペダゴジカル・スケッチブック」による習作Ⅱ「The Spinning Top」(2023) B/S.Sax, Bs.Cl & 「ウゴメク」for Baritone& Pianist (2021-22,24)
※上記全曲初演
・〈輝く未来〉〈サウンド・オブ・ミュージック〉〈私の夢が叶う場所〉By 八木琴子/三田村結奈
さて、以下にこちらで演奏予定の拙作についての解説を記載いたします。少し前の作品ではありますが、いずれも現在の創作語法に密な影響を与えてくれた楽曲です。初演の機会を逸していた作品にスポットを当てることができ、とても嬉しく思います。
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① パウル・クレー「ペダゴジカル・スケッチブック」による習作 II『The Spinning Top』
視覚的なイメージを聴覚的なイメージへ。空間を時間で描き、ひとつひとつの線を音で紡ぐ。そのための「習作」…。前作《The Spiral》に引き続き、本作は、その第2弾にあたる。尚、前回の編成はバスクラリネット・デュオであったが、今回はバスクラリネットと2種のサキソフォンによるデュオである。
クラリネット属とサキソフォン属は、確かに木管楽器に分類されることは共通しているし、それどころか、(現行の)バスクラリネットとサキソフォンはアドルフ・サックスという偉大なる共通の産みの親を持つが、楽器の素材や機構の違いが影響してか、その音色や音質は大きく異なるものを有し、まさしく「似ているようで似ていない」楽器だと言える。さて、今回の創作上で着目した点も、それら2者間の「差異」であり(尚、2つの楽器属が、開管構造と閉管構造という、それぞれ異なるストラクチュアにより成立していることも、その違いが楽曲中の諸音の選択手法に影響を与えたため、留意されたい)、デチューンにより、そのさらなる拡大が試行される。2人の奏者の繊細で、時にダイナミックなアンサンブルは、諸音にシステマティックに同期や、融合・結合をもたらすことには与せず、全て立体的な歪みの創出に還元されてしまうのだ。
楽器のメカニズムへの注視から引き出されたテーマやコンセプト、それを実現するための仕掛けやモティーフの設置…。そして、それを使役する人間の身体性への着目。かようなポイントに着目しながら創作を実施した。
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なお、前作《The Spiral》は、YouTubeにてダイジェストをご覧いただけます(以下の記事にリンクされております)。
また、《パウル・クレー「ペダゴジカル・スケッチブック」による習作 III『Earth, Water & Air』》は、サントリーホールサマーフェスティバル2024作曲ワークショップ(テーマ作曲家:フィリップ・マヌリ)にて公募採択され、同ホールにて初演されました。
▼クレーと筆者
②「ウゴメク」バリトンとピアニストのために(作詞:三輪沙也香)
常人とは質的に異なると言えるほどに優れた天性の創造力、およびその持ち主のことを天才と言うらしい。普通の人にはマネのできない先天的な才能の所有者…ぼくにとって三輪沙也香は、まさしくその典型例でした。ある時はバスクラ・プレイヤーとして、またある時はナレーターとして、そしてまたまたある時にはイラストレーターとして、彼女とは多くの協同を重ねていたものです。そして、本作では作詞者として、その才能の片鱗を発揮してくれている…というわけですね。ちなみに、なんとなく過去形で記述してますが、バリバリにご存命なので、お間違えなく…。(余談ですが、ぼくのWebサイトのホームページは現在まで彼女のイラストを使わせていただいております。)
さて、以下に楽曲について詳述いたします。
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本作は2021年から2022年の2月にかけて創作され、2024年に改訂された。作曲当時の私は創作手法のことなど何も知らないに等しく(それは現在も…以下略)、この楽曲もかなり粗が目立つ。しかしながら、表現意欲に満ち溢れており、現在あらためて楽譜をみても、それに関しては目を見張るものが確かに存在すると自負できる(すばらしい詩に導かれるようにして創作したことも、その一因であることは言うまでもなく)。故に長い期間、いつかこの作品をよりよい形で世に出したいと夢想していた。そして、昨年(2024年)、ついに修正を施すことになった。確か大学院に入学して初めてのレッスンで持参した作品のひとつではなかったかと記憶している。それほどまでにこの作品の訂正は、私にとって重要なことであった。作業に際しては、原典版の勢いを可能な限り削がないように細心の注意を払い、微調整を細部にほんの少しだけ加えることを意図した。なお、当初の歌詞には2つの視点が存在していたものの、当時は(尺の問題と、作曲スキルの問題の両面を理由として)その一方のみを選択して作曲を実施した。本日、本編(第2曲)の前に演奏される第1曲は、昨年、もう片方の人格を表象した歌詞を編纂して創作した作品で、プロローグとして位置付けられている。
狂人的な世界観をご堪能いただければと思います。
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高音から低音まで通貫する狂気的なバリトン大河原さん、および高難易度のピアノに加え、鍵盤ハーモニカとの持ち替え、はたまたピアノとの同時演奏まで要求される「ピアニスト(!)」城谷さんの超絶テクニックにご注目ください!
【12/14(日)】
— 杉本 能/Mune Sugimoto (@38nigg_pad) 2025年11月20日
「趙VS高橋」というコンサートに出演させていただきます。拙作の解説はamebloに記載しておりますので、ぜひご覧ください!
こちらでは2作のうち、歌曲のダイジェストを公開。ダイナミックなバリトン大河原さんに、鍵盤ハーモニカ同時演奏を伴うピアニスト城谷さんの妙義を会場でぜひ! https://t.co/8s7Qn1mkqT pic.twitter.com/8GsBOaLHJq
もちろん拙作以外も興味深い作品ばかりかと思います。私もいくつか演奏を担当する予定です。とりわけ高橋陽《杉本能の肖像》に戦々恐々としています…笑(ちなみに彼、高橋陽くんも天才と呼ばれるに値する類のアーティストといえるでしょう。私は彼の作品の初演に今夏も携わっており、11月も本公演とは関係のない別の新曲の演奏を某所で担当する予定。多謝。ここでは前者のリンクを下記に添付しておきます)。
何かとご多忙な折と存じますが、ぜひご来場いただけますと幸いです。お待ちしております。
12/14「趙VS高橋」の自作曲について
— Yo Takahashi (@Yoppie0425) 2025年11月12日
今回初演する二曲のうちの一曲「杉本能の肖像」をご紹介します。タイトル通り作曲家、バスクラリネット奏者としてご活躍中の杉本能さんをモデルにし、前回作の「倉田真子の肖像」からテーマとしている肖像画を音楽で表現しようという試みです。作曲に至った経緯は
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