▼ 1楽章:Three Revelations from the Paul Gauguin's Picture (Bass Clarinet Concerto No.1)
▼ 2&3楽章:Three Revelations from the Paul Gauguin's Picture (Bass Clarinet Concerto No.1)
▼Bass Clarinet Concerto No.2
▼おまけ:川島素晴/HACTION MUSIC II
未初演のまま留まっていた作品を2作も取り上げていただき深謝しております。この頃ようやく自分が創作を通じて成したいことが見えてきたような気がしているのですが、この度の機会で演奏いただく両作品は、その長い思索を開始した頃に初稿が整えられました。
さて、私の師の1人がとあるインタビューで以下のように述べられておりました。
「全ての楽曲に対して共通する作業は『素材研究』です。最初に書き出したテーマ、モチーフまたは一節の素材を四方八方から観察し、展開の可能性を模索していた結果が作品になると考えています。」*
…私自身もそれを念頭に置いたアドヴァイスを受けたものですし、これらの初稿を創作した当時、一際それを意識し、そればかりか、必要以上に拡大解釈し、不器用ながらに徹底しようと試み、自らの血肉にしようとしておりました(結果として吹奏楽では、あまり聞かれないような音楽になっているかな、と…)。今回は、その堅固な徹底はそのままに、当時に比べて少しさまざまな音楽的な「拡張」をした上で、実演していただきます。
*出典:
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① 《Ouverture für Blasmusik》
冒頭に提示されるA音から始まる4音セットの半音下降を3分間あの手この手でこねくり回して構築しました。まさしく素材研究、まさしく徹底の賜物のような作品です。
なお、この4音には当初とある4語からなる単語を念頭に置いて創作をいたしました。今回は…そうですね…例えば「しんぷう」のような適当な4語を思い浮かべながら聴いていただくのもアリかもしれません(かようなアプローチはK島先生の影響が強いですね…そして、今ならもう少しこの方向線上で、やりようがあるような気もします。しかしながら、この時期ならではの堅牢さに対して、これはこれでいいのでは…と思うことも事実です)。
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② 《吹奏楽のための「陰翳礼讃」》
小中規模の吹奏楽作品を除き、私の大規模な吹奏楽作品は、いずれも文学作品を基盤に、そのアイディア発想しております。本楽曲は「少女病」(田山花袋)**、「かつて信仰は地上にあった」(萩原朔太郎)***に挟まれたシリーズ2作目にあたり、谷崎潤一郎の同名のエッセイからインスピレーションを受けました。
以下、1年半ほど前に執筆したスコア添付の楽曲解説を転載させていただきます。
この作品は、谷崎潤一郎の同名のエッセイから、そのタイトルを拝借しています。もちろん内容自体も強く影響を受けており、通読の結果として、私はこの作品で「陰」(影)と「陽」(光)の対置を試みることになりました。その軌跡は、楽曲の構造やコンセプトに顕れておりますが、もしかすると、原作の正統な解釈としては妥当ではないのかもしれない…と、一抹の不安も抱いております。しかし、私が書籍から得たインスピレーションを基に、真摯に音を紡いだつもりです。以下、作品について詳述いたします。
この作品は、大きく3つのセクションに分かれています。まず、最初のセクションでは、陰の世界から楽音が創起されるプロセスを描いています。そして、次のセクションで、最初のセクションで顕れたマテリアルをさまざまな角度から照覧してゆきます。要するに、とある特定の物体を観察する際に、その眺める角度を変えてみたり、その光の当たり方を変えてみたりすることで、その印象がはっきり変わる…といったことが、現実の視覚世界において実感されたことが、おそらく誰しもがあるものかと存じますが、その表現を音で試みてみた、ということなのです。以上を実現するために、使用する素材自体を非常にリミテッドな範囲に縛りました。また、そればかりか、パートによっては、一見、ただただ同じことを怠惰に繰り返しているように思われても致し方ないかもしれません。しかし、微細に、(時にダイナミックに、)アングルは移ろいでゆきます。
最後のセクションでは、さまざまな変遷を経たマテリアルが、それ自体、意志を持って蠢いてゆきます。そして、光の濃度が最高潮に達したと思いきや、マテリアルは陰の世界に、引き摺られるようにして、帰着します。
2022年に原案を作曲。2024年に第2セクションを大幅に書き直し、第3セクションにおいてもオーケストレーション等、さまざまな箇所に改訂を施しました。
** 第13回常葉大学短期大学部音楽科ウインド・オーケストラ定期演奏会(静岡公演)にて初演(指揮:野津如弘)。いい意味でも悪い意味でも若いダイナミックな作品。
*** 第54回国立音楽大学Wind Symphony定期演奏会で初演。《陰翳礼讃》を「リズム」の楽曲とすると、こちらは「旋律」の楽曲。
なお、その後まもなく創作された《多元宇宙論》で、上記の全ての思索(試作)が総括された。
他の方の作品も非常に精力的、魅力的でして、またとない貴重な夜になるかと思います。ぜひ3月9日は国分寺にお集まりください(西国分寺駅の近くの非常にアクセスしやすいホールとのことです)。お待ちしております。




