さん喬と権太楼の夏夜噺 | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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お盆の後半は、仕事なしの東京で好きな芸能尽くし。 まずは、さん喬と権太楼による、吉例夏夜噺です。

 

二人が交互に主任を務めるこの企画、今日のトリは、権太楼で「宿屋の仇討」。

旅回りから江戸に戻る最後の夜に、神奈川宿に泊まった、魚河岸の3人衆。

 

どんちゃん騒ぎをとがめられ、寝つけられないときに、一人が始めた色話。

昔、武家の妻と浮気して、ばれそうになったことから、その弟と一緒に殺して逃げたって。

 

隣の部屋の侍は、何とその仇を探して旅する身。 3人を縛り上げ、明日は打ち首にするぞ。

旅行先の宿を探すのは大変、とのマクラから、硬軟、強弱、変顔(?)自在に、権太楼が引っ張っていく。

 

声がでかくて、動きが派手でも、走り過ぎずに間合いを取って、筋のおもしろさを見せる噺家。

ゆっくり寝たくて技を繰り出す侍、悪気はないのにとんだ目にあう若い衆、間でおろおろの番頭がおもろすぎ。

 

一方のさん喬は、「夏の医者」。 笑うところはほとんどなくてサゲだけ、と言いながら、それを聞かせる名人芸。

とっつぁんが食あたりになって、隣村まで医者を呼びに行く息子。 医者とのんびりゆっくり戻る、道中。

 

こんなゆっくりでいいの、と思いながら段々と、さん喬の話術にはまっていく気持ちよさ。

大蛇に吞まれてもあわてない、あわてない。 やっぱり、人も大蛇も、夏の食べ物にはご注意を。

 

今日の落語は、いつも以上に他の出演者をいじりながらの、暑苦しい、じゃなくて熱演が続きます。

 

一之輔は、「がまの油」でこれでもかの、大アクション。 声がはっきして筋がわかりやすいのが、この人の技。

三三は、同じ動物ものの「つる」で、かるーく流す。 それが段々と濃くなるのがおもしろい。 つーと来て、るー。

 

きく麿は、新作の「首領が行く!」。 Vシネマのせいで小学校が修羅場に。 変な関西弁に、変な味わい。

今日は古典ですね、と言いながら、得意の鉄道新作もの、「鉄の男」を始める小ゑん。 これが好きなんです。

 

上方からは、露の新治。 正統派の上方落語で、「鹿政談」が大うけ。 いいものは東西問わずか。

ストレート松浦、楽一、小菊などの色物が花を添えて、満員御礼で立ち見も出た、大熱演でした。