浅草歌舞伎は魚屋宗五郎で納め | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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浅草公会堂での新春浅草歌舞伎は、第二部の「魚屋宗五郎」で、現メンバーの見納めです。

いよーぅ、しゃんしゃんしゃんと、行きたいところ、9人全員揃った門出としては、ちょっと微妙。

 

幕が開くと、賑やかな祭りばやしの中、宗五郎の妹が手討ちになった悲しみで、沈み込む一家。

ここは、弔問に訪れた茶屋女房の歌女之丞がいて、舞台が締まります。 娘の莟玉も、行儀いい。

 

そこに、暗い顔の宗五郎。 内に悲しみを潜めた江戸っ子とは、なかなか難しい役を松也が演じます。

もちろん師匠は、菊五郎。 殴り込みを煽る小奴三吉や、嫌味を言う舅を諫めて、神妙に。

 

うーん、宗五郎の人物が見えにくい。 おなぎさんから真実を聞く場面も、ちょっと表面的か。

で、いっぺえ注いでくれから始まって、茶碗、片口、とうとう酒樽から直飲みへと、酔っ払いの名場面。

 

おや、飲み方と声の荒げ方が少し粗雑、おなぎさんへの絡みが蝙蝠安と同じような演じ方。

これはこれで個性的、教えた菊五郎の感想を聞きたいところ。 それでも、見得は、ばしっとキマりました。

 

宗五郎に振り回されながら、愛情たっぷりの世話女房には、新悟。 スタイルの良さが目立ちます。

それが新悟の特徴として、独特の空気感の時蔵や、ちょこまかと愛らしい雀右衛門にはまだまだかも。

 

いやあ、歌舞伎はアンサンブルが難しい。 これは、磯部の屋敷に乗り込んでからも感じます。

酔って言うんじゃございませんが、、、から、みんなで楽しく暮らしやした、、、のカラ笑い。

 

演じる方は必死で大真面目、それで滑稽に見えるのが肝、とは松也。 そこが、工夫のしどころか。

既に花形を卒業した、巳之助、歌昇、隼人も、ちょっと硬め。 米吉と種之助は、いつもながらの堅実さ。

 

ちょっと辛口の感想でしたが、これもまた歌舞伎。 まずはご卒業、おめでとうございます。

これから、それぞれの道で、芸が練り上がっていくことを、楽しみにしています。