国立劇場の若手の連獅子が躍動 | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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国立劇場での、稚魚の会と歌舞伎会の合同公演は、「連獅子」でキリです。

親子、兄弟、師弟など、様々な組み合わせがあるこの演目、若手の腕試しにはぴったり。

 

狂言師右近と親獅子には、歌舞伎会20期生の音蔵。 左近と仔獅子には、同じく22期生の音幸。

どちらも音羽屋.。 全身全霊で挑みます、誠心誠意勤めますとは、いい心がけ。 六代目も見守っていそう。

 

「峰を仰げば千丈の 雲より落つる滝の糸 谷を望めば千尋なる 底は何処と白浪や」

まずは、手獅子を携えての狂言師で登場。 足の運びが自然で、気負いはなさそう。

 

「登り得ざるは臆せしか あら育てつる甲斐なやと 望む谷間は雲霧に」

清涼山の石橋を表したあとは、子落とし、仔獅子の駆け上がり、親子の舞、蝶の狂いと続きます。

 

これは、きびきびして、すっきり。 このリズミカルなテンポが、心地いい。

と、ここで、ちょっと間延びしたような、アイの宗論。 鉦じゃ、太鼓じゃ、なもだ、蓮華経。

 

ここが面白くないと、全体が崩れる大事の場。 僧は、團蔵門下の河松と、歌六門下の蝶也です。

開場が小劇場なので、今日は近くで拝見できます。 やや緊張気味でも、無難にこなしてくれました。

 

天地鳴動して僧たちが逃げ出したあと、一瞬の静寂の中、音蔵と音幸の獅子が現れました。

するすると花道を出てきて、前向きのまま、すすすっといったん引っ込む。 おお、型ができています。

 

「花に戯れ枝に臥し転び 実にも上なき獅子王の勢い 獅子の座にこそ直りけれ」

ここから、白毛と赤毛での毛振り。 ふら付き気味の乱れでも、若さむんむんで、バシッとキマリました。