南座の龍虎は扇雀親子の競演 | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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「龍吟ずれば雲起こり、虎嘯けば風となる」

じゃーんと銅鑼が鳴って、巌の上に現れた龍。 それに呼応して、咆哮する虎。

 

「月は厳頭に冷たく眠り 水は渓谷に全く絶えて 万物声無き一瞬時」

重々しい義太夫に、琴と尺八。 初っ端から、圧倒されます。

 

これが、八世・三津五郎と三世・延若が初演した、新作舞踊の「龍虎」。

龍は扇雀、虎は虎之助(寅年の締めくくりにぴったり)で、能装束の親子が凛々しい。

 

すっかり忘れていましたが、5年前の歌舞伎座で、幸四郎親子で拝見して以来でした。

大音量の鳴物、目まぐるしく転換する舞台、気合十分の竹本で、どんどんテンションが上がっていきます。

 

「妖の眼光 精気を含みて キラリキラ 火焔の舌端 毒気を孕みて ヘラリヘラ」

二度目の出からは、龍が黒毛、虎は褐色の毛。 ここから、毛振りと、大口袴の引っこ抜き。

 

独特の、死力を尽くした戦いを、親子が息ぴったりで踊ります。

いやあ、疲れた。 龍は雲の中、虎は洞窟で、しばしのブレイク。 そうして、月光の中の再開。

 

「彼は天翔けり 此は地を潜り 陰陽相搏つ 二頭の巨仙」

動と静の行き来、緩と急の振付、じゃんじゃん鳴る銅鑼、煌びやかな視覚に圧倒された、20分間でした。

 

鴈乃助、扇乃丞、かなめ、鴈洋の、てきぱきした後見が観られたのも、うれしいところです。