南座で扇治郎の一休さん | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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南座の松竹新喜劇、夏まつり特別公演に行ってきました。

まずは、村角太洋による新作喜劇、「一休さん」です。

 

安国寺で修行中の、一休さん。 今日も頓智がさえています。

和尚さんの水あめを、仲間たちとぜーんぶ食べて、「附子」ばりの言いわけ。 こりゃ、怒れんわい。

 

ぐりぐりぐり、ちーん。 はい、名案が浮かびました。 小柄で童顔、坊主頭の扇治郎が、一休さんそのまま。

臨機応変な頓智と新喜劇のアドリブは、似ているとか。 一休さんが、祖父の寛美と重なるそうです。

 

ここにやって来たのが、武家の新右衛門。 村人のお茶自慢の争いを、一休さんに収めてほしいのじゃ。

そなたが、一休か? なに、違う? 坊主頭で僧の白装束では、みんな同じに見えるのう。

 

これが、なかなかのおとぼけぶり。 なんと、OSK元トップスターの、桐生麻耶じゃありませんか。

大柄な体を縮めて、ひょこひょこ歩いて、ギャグを飛ばす。 天然ではない、懸命のボケぶりが好感。

 

一休さんと新右衛門が、道中で事件に巻き込まれるのが、やっぱり新喜劇。

なになに、茶屋で働いている小娘は、母親が生まれたばかりの弟ばかり構うので、家出してきたって。

 

この小娘が、大人顔負けのやり手。 一休さんに頓智合戦を挑んだりして、はっきりものを言う。

これが、「おちょやん」ですっかり人気者になった、毎田暖乃の初舞台です。

 

動きが軽快、声がはきはき、きれいな京都弁です。 「一休さん」を観て、感動してねとは、いい役者。

扇治郎が、あえて食われ気味ながら、対するのがうまい。 大人を相手しているような、緊張感があったとか。

 

ここに、天外が中和剤で入るのが、新喜劇の良さ。 茶屋の主人で右往左往しながら、舞台を捌いています。

なんやて、お母さんが嫌いなんちごて、楽させたげよ思て、働いてんねん、やて。 ええ、娘やなぁ。

 

 

で、一休さんが難題を解決して、めでたしめでたし。 おとぼけの新右衛門はんも、ちゃんとわかってはったって?

次の、将軍を茶でもてなす場では、麻耶と、同じOSKの渚美伶の、ダンスがごちそう。 いい、演出です。

 

そのあと、全員の盆ダンスで、ほのぼのと幕になりました。 ちーん。 はい、できました。 一休さぁーん。