歌舞伎座で猿之助の悪太郎 | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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歌舞伎座の初春大歌舞伎、続きは「悪太郎」です。

悪太郎には、もちろん猿之助。 楽しく愉快な舞踊劇は他にもあるが、珍しいものを選んだとか。

 

なるほど。 シンプルな舞台、4人だけの人物、約50分弱で、にこにこできる。 いい選択かも。

10月の春秋座を、思い出しますね。 伯父と太郎冠者が、同じ猿弥と鷹之資とは、こりゃどうなる。

 

花道から、悪太郎が出てきました。

ナマズ眉、鎌髭、派手な小袖で、千鳥足。 うーい。 薙刀を振り回し、酔踊(?)を見せる。

 

いつもながら、身軽さの中に正確さ。 剽軽さの中に、基本の技。 これが、猿之助の持ち味。

わしも、同道いたそう。 なに、西近江から東近江へ参るとな。 酔っ払いの絡みが、下品になりません。

 

貧乏くじを引いた智蓮坊には、福之助。

悪太郎をふり払えずに苦労する役ですが、嫌味が出すぎると場が崩れる、大切なお役。

 

そこは、福之助が飄々と演じます。 この人には、天然のユーモラスさがありますね。

まだまだ勉強中ですが、いい味です。 猿之助のリズムに、しっかり付いていっています。

 

悪太郎にせがまれて、修行の様子を踊るところなどは、なかなか。

その後は、猿之助の薙刀の踊りが、見どころ。 弁慶や景清が登場。 あれっ、ここは酔っていないぞ。

 

そこに、伯父と太郎冠者が現れる。 悪太郎に乗せられて踊る、猿弥と鷹之資の舞は貴重です。

酔いつぶれた悪太郎は、懲らしめで頭を剃られて、僧形に。 木陰に隠れる、二人の悪戯がたのしい。

 

4人の人物が個性的で、話の展開が早く、テンポがいいのが、この長唄舞踊劇の特徴。

なに、わしの名は南無阿弥陀仏だって。 なむあみだぶつ、やあ。 なむあみだんぶ、やあ。

 

またまた、絡まれるのが智蓮坊。 それでも、慌てずやっぱり飄々としているのが、福之助。

では、南無阿弥陀仏で踊るのじゃ。 それ、なむあむだぶつ、なむあみだんぶ、なむだ、なむだ。

 

出ました、鉦が珍妙な三拍子を刻む、悪太郎特有のリズムとダンス。 

伯父と太郎冠者も加わった、4人の連舞が、合うようで合っていない。

いやいや、これがいい。 もう、大笑いでした。