2014年6月27日、松本サリン事件から20年目を迎え、かつて、オウム真理教に所属していたことのある元オウム信者の一人として、事件の被害者やご遺族の皆さまに対して、あらためて深くお詫びを申し上げます。

本日、松本サリン事件20年の節目にあたり、長野県の新聞、信濃毎日新聞に、取材やインタビューに応じさせていただいた記事が掲載されました。


信濃毎日新聞では、

今週、以下の特集記事が連載中です。そのシリーズ5でした。

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松本サリン 語り継ぐ教訓 あの日から20年

混乱を極めたあの日の現場で大勢が命を奪われ
体と心に傷を負い、課題を抱え込んだ人たちもいた。

周辺の住民や、医師、遺族、暴走した教団の元信者らの
言葉から未来に目を向ける。

(信濃毎日新聞 2014年6月23日)

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シリーズでは、現場で緊急活動、治療をした元信州大学の医師、河野さんを疑った現場近くの女性、被害者遺族の方々などの言葉が紹介されていました。


本日は、そのシリーズの5として、


オウム元幹部や元信者
厳しい視線を背に活動

との見出しで、
内容は、新聞記者の方が、ひかりの輪で行った聖地巡りへ同行しての密着取材と、わたしへのインタビューでした。

そして、先日20日の記事に載ってしまった、誤解を招く表現はなく、ありのままをそのまま掲載していただいていました。
信濃毎日新聞様につきましては、その表現の間違いを指摘させていただいたブログ記事もお読みくださり、丁寧な調査と、事実をありのままに書いてくださったことに、心から感謝いたします。

今月6月1日に、ひかりの輪では聖地巡りの一環で、たびたびお参りさせていただいてきた長野市の善光寺へお参りしました。

新聞の写真は、善光寺境内での写真でした。

・ひかりの輪が、2007年に、アレフを脱会した元信者らで作られた団体であること
・今は、「思想哲学の学習教室」であること、
・聖地巡りは、オウムの反省から、多様な価値観に触れる目的があること、

上祐が、現在
・今はオウムの元幹部として、被害者らへの謝罪の意を示し、・麻原(松本死刑囚)には、「現在に至る結果は、支配欲が強かったことによる自業自得」と距離を置く

そして、
わたしのインタビューについては、

元オウム信者だったこと、
長野の連絡所には、5人ほどのひかりの輪の会員が来ることがあること

そして、わたしが都内の短大生だった頃に、
オウムに入信し、
出家後、学生を勧誘するグループに配属され、
信州大学での麻原の講演会にも同行していたこと、

事件後、教団に残ったけれど、

国内の神社やお寺を巡るうちに、

「麻原一人を神のようにあがめることに
疑問を感じるようになった」

と、脱会したこと。


そして、
わたしが、
「犯罪者集団に、人々を勧誘してしまった」
と悔やみ、
「二度と同じような事件が起きないようにしたい」
と語っていること。

そして、ひかりの輪の活動を続けるのは、

「アレフの信者の脱会を支援し、
オウムの教訓を社会に伝える役目がある」からであること。

そして、
公安調査庁が、ひかりの輪を、
「依然として反社会的で危険」
として、日常的に監視を続けていること。

一方上祐代表は、
公安調査庁の見方に、
「根拠のない間違った見解」
として、

社会や被害者の方の厳しい目には、

「ひかりの輪が、オウムの後継団体ではなく、
宗教の問題を超えながら、
心の幸福を求める学習団体だと
理解いただけるようにしたい」としていること、

最後に、アレフからは現在の活動内容についての回答がなかったこと
などが綴られていました。


このように、長野県の中で、県民の8割とも9割ともいわれる方々が
購読されている、新聞に、ありのままの事実を掲載していただけましたこと
心より感謝いたします。

その言葉に違わぬよう、
ひかりの輪を監査していただいている、
河野義行さんを決して裏切ることのないよう、
この20年の節目に、改めて、松本サリン事件の非道さを
心に刻み、できる償いを実行してまいりたいと思います。


最後に、この日を迎えるにあたり、
ひかりの輪の中で、わたしを含む元オウム信者一同で、
発表したコメントを添付させていただきます。

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松本サリン事件から20年目を迎えて

                              「ひかりの輪」の中でかつてオウム信者であった者一同


ひかりの輪は、2007年に、かつてオウム真理教(と後継団体アレフ)に所属していた者たちが、オウム信仰(麻原死刑囚への絶対的帰依やサリン事件などを宗教的に肯定・評価する危険な教義)に反対して、アレフから脱会して新たに設立した団体です。

ひかりの輪は、組織的にも思想的にも、オウム真理教やアレフとは全く別の団体であり、宗教団体ではなく、古今東西の思想哲学を学ぶ学習教室です。

しかし、ひかりの輪の中でも、かつてオウム真理教に所属していた者たちにつきましては、たとえ事件に関与していなかったとはいえ、過去にオウム真理教に所属して教団を支えた責任を回避すべきではないと考え、この度、以下のコメントを公表させていただきます。

                     * * *

この2014年6月27日で松本サリン事件から20年目を迎えるにあたって、当団体の中でオウム真理教に所属していた私たちは、事件の被害者やご遺族の皆さまに対して、あらためて深くお詫びを申し上げます。

特に、被害者であるにもかかわらず当初犯人扱いされて苦しまれた河野義行氏をはじめ、同氏への冤罪騒動に関連して捜査当局やマスコミ等の社会全般に対しても多大な混乱を生じさせてしまったことを、心より謝罪させていただきます。

 

20年目というのは大きな節目でありますが、今なお心身の傷が癒えることなく苦しまれている被害者やご遺族の方々がいらっしゃるという事実を胸に刻み込み、さらなる償いの道を歩む決意をする機会とさせていただきます。

当 団体の中でかつてオウム真理教に所属した者たちの中には、松本サリン事件に関与した者は一人もおりませんが、前記の通り、そのような事件を起こした教団を 物心両面で支えてきた宗教的・道義的な責任があるのは疑いようがありません。

それを強く自覚し続けるためにも、オウム真理教犯罪被害者支援機構との間に被害者賠償契約を締結し、その宗教的・道義的責任を法的責任にまで高めてきましたが、今後もこの契約に基づく賠償金のお支払いを通じて、償いを深めてまいります。

そして、二度と同じような事件が繰り返されることのないよう、オウム事件の反省・総括を深め、インターネット上での公表や、出版・講演・報道等を通じて、事件の教訓を社会に残す活動に努めてまいります。

さらに、今でも事件当時の危険な教義と麻原への信仰を維持・強化し、多数の若者を入信させているアレフの活動を制止するための取り組みにも励んでまいります。

なお、これらの償いのための一連の活動は、2011年11月から現在までの約2年半にわたって、河野義行氏を委員長とする「ひかりの輪外部監査委員会」の 皆さまにご覧いただいてまいりました。

河野氏は、外部監査委員長就任直後(2012年1月22日)に、東京で報道各社の記者に対して、「かつてあなた方 (マスコミ)が私に対して間違ったイメージで見ていたのと同じように、ひかりの輪に対しても間違ったイメージで見ているのかもしれませんよ」とおっしゃり、偏見なき目で当団体への監査を続けてきてくださいました。

その結果、河野氏は、当団体について「麻原絶対帰依から離れ、危険性を感じない」旨のコメントを、マスコミの取材に対して公表されたこともあります。

私 たちは、被害者でいらっしゃるにもかかわらず、元オウム信者である私たちの反省・総括を見守ってきてくださった河野氏に対して、そして、オウム真理教やア レフとは全く関係していなかったひかりの輪会員や、ひかりの輪に理解を示してくださる皆さまに対して、決して恥じることのないよう、上記の取り組みにさら に努めてまいります。

当団体では、3カ月に1度、オウム事件の犠牲者の皆さまのご冥福をお祈りする慰霊行事を実施してきており、この6月27日にも執り行わせていただきますが、その場においても、以上の覚悟を参加者の会員一同で再確認させていただきます。

最後にあらためて、この事件で犠牲になられた方々のご冥福と、心身に傷を負われた方々の傷が1日も早く癒されますようお祈りするとともに、心よりお詫びを申し上げます。