今回は「男神の名称について」と題してお話していきます。毎回男神の解説を書き続けるのが『文章量多くなりすぎてしまう』という理由も有りしっかり解説することにしました。この意味を知っておくだけで真の男神の意味が理解出来ます。
~男神の名称の違い~
男神は、大抵神名の後に男神であることを表す尊称が付いています。○○彦・○○男・○○毘古・○○比古という種類が有ります。一般的に男神という認識ですが、詳細な意味が隠されています。男神・女神共に性別が特に付いていなく男神・女神と言われている神々もいらっしゃいます。また、神名の後ろに《神・命・尊》と付きますがこれにもそれぞれ意味が有ります。
【豆知識】
神・命・尊について
一般的には、神・命・尊は神を表す尊称です。普通は特別考える必要は有りません。その神の本質・性質・役目等を正確に理解するためには、意味を理解する必要が有ります。
神とは?
天つ神のご命令(職務)が無い場合は単に”神”と言われる。これは、古事記初頭を読んでいくと解ります。神々が成った(出来上がった)時点では、伊邪那岐神・伊邪那美神と記載しています。
命とは?
天つ神のご命令を受けた神が《命》で在られます。古事記初頭部分で伊邪那岐神・伊邪那美神が天つ神諸々のご命令を受ける事により伊邪那岐命・伊邪那美命となります。
尊とは?
日本書記及びそれ以降に見られる記載です。古事記ではこの記載は有りません。そもそも文字の意味は、《神に捧げる》という意味から来ています。ですから《尊》は、本来神に対して付ける尊称ではないのです。これは、支那大陸からの文化流入の影響かと思われます。
【尊の意味】(参照 漢字ペディア)
意味・・・・・①たっとい。とうとい。たっとぶ。とうとぶ。 ②敬意を表すために添える語。 ③みこと。神や貴人の名に添える敬称。
なりたち・・・寸(手)と、酋(しゆう)(酒だる)とから成り、手で酒つぼを持ち、神にささげる、ひいて「たっとぶ」意を表す。
~漢字の意味を理解する~
男神に関する漢字は、《男・彦・比古・毘古》になります。《彦・比古》は《ひこ》と読み両方とも同じです。《毘古》は《びこ》と読み、《男》は《お》と読みます。それぞれ《男の神様を表す》という意味は同じですが、付随する意味が全く異なります。一つ一つ意味を解説していきます。
【男について】
男という漢字が使われている神は、男性の神の他に《耕作に関わる男神》という意味を含む神です。農耕神ということが神名以外で解ります。
【男の意味】(参照 漢字ペディア)
意味・・・・・①おとこ。成年のおとこ。おのこ。 ②むすこ。
なりたち・・・田と、力(農具のすき)とから成り、耕作に任じる人、ひいて「おとこ」の意を表す。
男性の神
+
耕作に関わる男神
【彦について】
彦という漢字が使われている神は、男性の神の他に《うつくしい男の神》《才徳があるすぐれた青年》という意味を含む神です。見目麗しく才覚の有る男神ということが神名以外で解ります。
【彦の意味】(参照 漢字ペディア)
意味・・・・・①ひこ。男子の美称。 ②才徳があるすぐれた青年。
なりたち・・・意符彣(ぶん)(あや)と、音符厂(カン)→(ゲン)とから成る。うつくしい男の子、転じて、優れた青年の意を表す。元の字は「彥」で、「文」は入れ墨、「厂」はひたい、「彡」は美しいことを示す記号で、それぞれを組合せて、一定の年齢に達した男子がひたいに美しい形や色をした入れ墨を描き、成人の儀式を行う事を表す。
男性の神
+
うつくしい男神
+
才徳があり
すぐれた青年の男神
※ここで注意して頂きたいのが『美しい』ではなく『うつくしい』であるということです。『美』という漢字を使ってしまうと意味が別になってしまいます。この美を使ってしまうと、上位の神に従うことを意味付けられた神と言う事になってしまいます。
【美の意味】(参照 漢字ペディア)
意味・・・・・①うつくしい。きれい。②よい。すぐれている。りっぱな。 ③よしとする。ほめる。たたえる。 ④うまい。おいしい。
なりたち・・・羊と、大(おおきい)とから成り、神に供える羊が肥えて大きいことから、「うまい」「うつくしい」意を表す。
【豆知識】
『うつくしい』という見た目を示したい場合は、どのような漢字が使われているのでしょう?見た目のみの『うつくしさ』を表現する場合は、『那』という文字が使われています。
【那の意味】(参照 漢字ペディア)
意味・・・・・①なんぞ。いかんぞ。疑問・反語の助字。 ②どこ。どれ。③なに。いずれ。④多い。⑤うつくしい
なりたち・・・邑と、音符冄(ゼム)→(ダ)とから成る。「冄」は糸や毛が多くしなやかに垂れていることを表し、ツクリの「阝(おおざと)」は「特定の土地」を表し、2つを組み合わせて「しなやかで美しい村」を指していたとされます。
【比古について】
比古という漢字が使われている神は、男性の神の他に《ならびたつ男神》《○○になぞられる男神》《遥か昔からの存在》《祝詞を守る男神》という意味を含む神です。比を含む神は、男女共に有ります。婚姻した神に付けられる場合が多く見られ男女分け隔てなく並び立つ神としています。古を含む神名を持つ男神は、祝詞・祭事等に関連した神であったと言う事です。また、天照大御神以前から居た国津神・精霊的存在の神など遥か昔から存在した神に付けられる場合が多く見られます。
【比の意味】(参照 漢字ペディア)
意味・・・・・①くらべる。てらしあわせる。 ②たとえる。なぞらえる。③ならぶ。ならべる。 ④たぐい。仲間。 ⑤ころ。ころおい。 ⑥同種の二つの数量の割合。
なりたち・・・人がふたり並んでいるさまにより、「ならぶ」、ひいて「くらべる」意を表す。
【古の意味】(参照 漢字ペディア)
意味・・・・・①過ぎ去ったむかし。いにしえ。 ②ふるい。ふるびる。ふるめかしい。 ③ふるす。長く使ってふるくなる。④祈る
なりたち・・・①口と、十(おおい)とから成り、何代も語り伝える昔のことの意を表す。②祖先の頭蓋骨に祈る様子を漢字にした象形文字といわれています。『ふるい』『かたい』『むかし』『祈る』の意味があります。
③頭蓋骨ではなく、『干』というたてと『口』(サイ)という祈器を用いて祝詞を守る様子を表す会意文字とも言われてます。意味は②と同じ。(参照②③:風船あられの漢字ブログ)
※”祝詞を守る”存在=男となっているのではないかと思われる。また『代々語り伝える存在=父系継承の象徴』として男を指しているのではないでしょうか。
男性の神
+
ならびたつ男神
○○になぞられる男神
+
遥か昔からの存在
祝詞を守る男神
日本は古代より男女分け隔てなくという考え
【毘古について】
比古という漢字が使われている神は、男性の神の他に《たすける男神》《○○をたすける男神》《遥か昔からの存在》《祝詞を守る男神》という意味を含む神です。毘を含む神は、男女共に有ります。婚姻した神に付けられる場合が多く見られます。男女分け隔てなくお互いに援け合う神としています。古を含む神名を持つ男神は、祝詞・祭事等に関連した神であったと言う事です。また、天照大御神以前から居た国津神・精霊的存在の神など遥か昔から存在した神に付けられる場合が多く見られます。
【毘の意味】(参照 漢字ペディア)
意味・・・・・たすける
なりたち・・・意符囟(しん)(ひよめき。田は変わった形)と、音符比(ヒ)とから成る。人のへその意を表す。借りて、たすける意に用いる。
【古の意味】
前項を参照ください。
男性の神
+
たすける男神
○○をたすける男神
+
遥か昔からの存在
祝詞を守る男神
日本は古代より男女が援け合っていたことが解る
【豆知識】
援ける(たすける)と助ける(たすける)の違いとは?
神に関して言えば、《助ける》という表現は基本的に使いません。上位の神に力を借りる神の場合は使います。助けると書かずに”援ける”を使う理由は《助ける=神に捧げ物をして力を得る》という意図の漢字です。《援ける=手を取り合ってたすける意味》という意図の漢字です。詳細な意味が異なります。美という漢字を基本的には使わないのと理由は似ています。
【助の意味】(参照 漢字ペディア)
意味・・・・・①たすける。すくう。力をかす。 ②主たるものをたすけるはたらきを表す。 ③すけ。(ア)昔の官位の一つ。(イ)人の名の下につけて、その人の性質や特徴を表す語。
なりたち・・・力と、音符・且(シヨ、ソ)とから成る。人を「たすける」意を表す。且の意味
意味・・・・・①かつ。さらに。一方で…し、一方で…する。 ②しばらく。ひとまず。 ③まさに…せんとす。…しそうだ。
なりたち・・・肉を入れて神に供える、重ね形になっている器の形にかたどる。「俎(シヨ、ソ)」の原字。借りて「かつ」「かりに」などの意の助字に用いる。力の意味
意味・・・・・①ちから。 ②はたらき。作用。 ③いきおい。 ④つとめる。はげむ。 ⑤りきむ。力をこめる。
なりたち・・・農具のすきの形にかたどる。すきを使うことから、転じて、ちからをこめてする、また、「ちから」の意に用いる。
【援の意味】(参照 漢字ペディア)
意味・・・・・①たすける。すくう。力をかす。 ②ひく。ひきよせる。ひき上げる。
なりたち・・・手と、爰(ヱン)(ひく)とから成る。「ひく」、ひいて「たすける」意を表す。
『援』は、手を手で引いて援(たす)ける様子を表した形声文字です。扌(手の動作・引く)+爰(手と手で援ける・ゆとり)=援(手を手で引いて援(たす)ける)です。漢字の意味は『手で引っ張り上げる』、『援(たす)ける』です。
(参照:風船あられの漢字ブログ)
~最後に~
このブログ・・・まぁ余り読まれていませんが少々専門的過ぎるのか一般受けしないんですよね。スピリチュアル系の仕事をされている人達が主な購読層ってことが最近理解出来ました。お仕事をされる上で此処に書かれている事柄がお役に立てれば幸いです。
比古・毘古神に関しては、神事系統の神で在られますのでスピリチュアル系の方は想いが通じやすい神で在られます。是非ご自身と相性の合う神を見つけてみて下さい。
~ご興味を持たれた方~
ご興味を持たれて私に依頼をされたい方は下記のWebサイトまでアクセスください。お仕事のご依頼心よりお待ち申しております。神社総合案内所 受付案内