「いつでも帰ってこいよ、三郎」
もし万が一、越後でなにかあったら、すぐにわしが助けにいくぞ。
「いつでも兄の心はおまえとともにあることを、忘れるな」
「兄上・・・」
相模の海を見つめて、言った言葉。
兄上の、心に染み入る言葉。
三郎は、その言葉だけで十分です。
越後でも、きっとうまくやっていけます。
きっと、父上や兄上のお役に立ってみせます。
溢れそうになる涙を、潮風にのせて微笑を浮かべた。
「ありがとう・・・・・兄上」
「お兄ちゃん。こんなとこで寝たらだめだよ!」
「・・・あ。美弥?」
一瞬どっちが現実か分からなくてぼんやりしていた俺を、にっこりと見つめて立ち上がり、美弥は台所にぱたぱたと消えていった。
眼をこすりつつコタツから起き上がると、あったかいココアをコタツに置いてくれた。
両手で包み、息を吹きかけ冷ましつつゆっくりと一口のむ。
あったかさが、胸から全身に染み渡る。
横に座った美弥が自分のカップをコタツに置き、エプロンのポケットから四角い包みを出した。
「はい。お兄ちゃん」
再びカップを口許に運んでいた俺に笑顔で包みを差し出す美弥。
怪訝に思いつつ、カップを置いて包みを受け取る。
「これ、どうしたんだ?」
「え?」
渡したままの格好できょとんとする美弥。
「お兄ちゃんたら・・・今日はバレンタインでしょ。だから・・・」
言いながら可笑しくなってきたのか、最後はくすくすと笑い出してしまった。
「あぁ・・・そっか・・・」
日々の忙しさに流されて、そんなことすら忘れてしまっていた。
無邪気に笑う美弥をまぶしそうに眺める。
兄上は・・・チョコ貰ったら食べるんだろうか。
優しい面影を思い出して、ふとそんな事を思いつき、そっと口許に笑みを浮かべた。
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ブログネタ:バレンタイン大作戦!あげたいもの・欲しいものは?
参加中
なんだろう?
勝手にバレンタイン企画・・・
えっと・・・
俺が欲しいのは笑顔。
モノよりも相手の喜ぶ笑顔が欲しい。
相手にも、笑顔をあげられたら、いいな。