太陽に輝く海を見渡せるホテルのロビーの片隅で、千秋はコーヒーを口に運んだ。
軽く眉をしかめて、カップをソーサーに戻す。
「冷めちまった」
ちらり。と腕時計を見る。
約束の時間はとうに過ぎている。
一体やつはどこで何をしているのやら。
新しくコーヒーを注文して、新聞を開いた。
「長秀」
強く肩をゆすられて、はっと目を覚ます。
「・・・直江か」
いつの間にか眠っていたらしい。
海と空の蒼がやけにまぶしくて、目を細める。
時計をみると、さほど時間はたっていないようだった。
「お前遅いんだよ」
「すまなかったな」
あくびをかみ殺しながら言ったそれは、直江の苦笑いと共に出た言葉にやんわりと吸い込まれる。
言葉の穏やかさに眼を上げると、直江の口元にはかすかに微笑が刻まれていた。
(あーらら。幸せそうな顔しちゃってまぁ・・・)
直江は今朝まで、静岡の怨霊退治で、高耶と行動を同じくしていたのだった。
その足で、ここに直行したはずだった。
「景虎はどうした?一人で松本に帰ったのか?」
「いや、きちんと送って来た」
そうか。だからか。。。
直江が遅れた理由を知り、一度大きく伸びをする。
「あいつ、俺が送ってやるって言ったらすっげ拒否すんのに、お前には何も言わないんだな」
そういえば。と思い出したように直江が千秋に言い諭す。
「高耶さん、今日も言ってたぞ。千秋の運転はジェットコースターより怖いって・・・。長秀、高耶さんを乗せてるときはもっと丁寧に運転してくれ」
あまりの言われように、がっくりと脱力してした千秋を、誰が責められようか。
「直江。。。とりあえず、メシ食いにいかねーか?」
ちらりと、腕時計をみやって、直江は頷いた。
「やっぱココの点心は最高だよな」
蒸篭(せいろ)に入った点心をほおばりながら、千秋は舌鼓をうった。
ぱくぱくと点心を満足げに口に運ぶ千秋を見つめて、直江は口元に微笑を浮かべた。
ん?
気づいた千秋に視線で問われて、直江は口を開いた。
「いや。高耶さんも、そんな風に美味しそうに食べていたなと、思ってな・・・」
また思い出したのか、さらに微笑を浮かべる。
(あーあ。幸せそうな顔しちゃってまぁ)
ごくり。とビールを一口飲んで、話に付き合う。
「んで、何をうまそうに食ってたんだ?」
「そうだな。高耶さんは何でも美味しそうに食べてくれるから、俺は嬉しいんだが、一番喜んで食べていたのは魚料理だったかな。刺身がすごくお気に召したようでな」
穏やかに、口元の笑みを絶やすことなく語る直江は、見ていて本当に幸せな気持ちになる。
思いながら、千秋まで笑みが移ってしまった。
「お前たちが笑顔でいられるなら、それに越したことはない」
つい、口にするつもりのなかった本音が小さくもれる。
「何か言ったか?長秀」
ざわめきにかき消されて直江の耳には届かなかったらしい。
そっと胸をなでおろした千秋は、満面の笑みを浮かべた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ああああ。。。
一旦仕上がったのに、UPし損ねて、データふっとんだ。
俺の二日間は何だったんだろな。
慌てて書き直したから、なんか変な文章になってたらすまん。
なんか、直江のこんな幸せそうなのって、あってもいいんじゃねーか?と思って、書いてみた。
どうだろ?