名もない出会い | バカのアフォリズム

名もない出会い


やどかり日記

名も聞かぬ友へ

君とはあの夜、一緒に食事をしただけだけど、
あの時、君と話したことを、
僕は次の日も電車の中で、ずっと考えていました。

君が学校へ行けなくなり、
そして、旅に出たという話は、
ある時期の僕を思い出させました。

僕もその頃、ひどく落ちこぼれ、
自惚れが強いぶんだけ、大きく自信を失いました。
絶望を感じていました。

それから僕の旅が始まりました。
僕の旅は、苦しさからの逃亡でした。
出口のない迷路を、僕は彷徨いました。

やがて僕の旅は、、
自分を見つめる哲学へと変わりました。
僕の気持ちも変わり始めました。

そして僕の旅は、
許せなかったものを許すための巡礼へと変わりました。
許すごとに、痛みが和らぐのを知りました。

旅の意味が変わるたびに、僕の気持ちも変わりました。
やがてその旅が、
自信を失っていた人間の、新しい誇りとなりました。

君は今、まさに痛みの中にいることを、
僕に語ってくれました。
僕はかつての自分に再会した想いでした。

どうか、旅路を一歩一歩と進みながら、
一つ一つで構わないから、
許せなかったことを、許していってほしいと願います。


許すことは負けることではありません。
一つ許せたら、その分だけ、
君が大きくなったと思ってほしいのです。

君が再び社会に戻るとき、
周囲の人たちは、相変わらず鈍感に、
君を傷つけると思います。

我慢を強いられる場面は多々あるでしょう。
人間である限り、腹も立つでしょう。
それは許しがたいことかもしれません。

でも、その時は、
どうか君が尊い旅を経てきたが故に、
彼らよりも大きく振舞ってほしいと願います。

それは理不尽でしょう。
しかし、そこで彼らの自尊心を傷つけない振る舞いができたなら、
君は遥かに大きな人だと思います。

僕は君だけに、我慢を強いているのではありません。
僕が願っているのは、
どうか君の人生を腐らせないでほしいということです。

考え方一つで、
人生を腐らせることもできれば、
花を咲かせることもできるのです。

自分に誇りを持つならなおさら、
小さなことに囚われて、
人生を腐らせるのは悔しいことです。

どうぞ焦らず、必要な時間をかけながら、
君が変わってゆくことを僕は願います。
時間をかけて築いたものは、簡単には壊れません。

僕は君の未来を信じています。
君らしい素敵な人生を生きてください。
どうか今日を旅路を大切に。

Have a nice day.


名も名乗らぬ旅人より


やどかり日記