バラナシ | バカのアフォリズム

バラナシ


やどかり日記




日本の皆さん、そして旅で出会った方々、ナマステ。
僕は今、インドのバラナシにいます。

数日前、ネパールのポカラを出発し、インド国境近くのルンビニを訪ねました。

ここは釈迦が生まれたところです。
面白い場所ではありませんが、仏教の聖地として世界遺産にもなっています。

その後、国境を越え、インドに入国しました。

さっそくお金を騙そうとするインド人の出迎えに会いました。
何とか騙されずにローカルバスに乗り込み12時間、バラナシに着きました。
バスの車窓から見る限り、ネパールと変わらない風景でした。

しかし、その後、ネパールとは明らかに違うことを実感しました。

行く先々で、インド人は僕を騙そうとするのです。
常にその攻防戦であり、この緊張感はネパールではありませんでした。

例えば、今さっきの出来事です。

ガンジスの辺を歩いている僕に、オジサンが「髭を剃ってやる」と言うのです。
「いくらだ?」と聞くと「10ルピー」
「絶対10ルピー以上払わないぞ、髭剃りだけだぞ」と念を押してから、やってもらいました。
気持ちよく髭を剃ってくれました。
日本の床屋と同じです。気持ちのよい、職人の技でした。

しかしです。

髭が剃り終ると、ものすごく自然に、頭のマッサージに移行するのです。
僕は敏感に反応しました。
絶対ここから先は、別料金だ!と。
僕は必死に「NO! オンリーシェービング!
NO!NO!!」とオッサンを止めました。
僕は10ルピーを差し出し、「いい仕事だ」と言うと、「いい仕事だと思うならもっと払え」とオッサンは言います。
僕は「10ルピーと約束したろ」とそれ以上払いませんでした。

するとオッサンは、今度はなぜか「キスさせろ」と言ってきます。

「俺のキスはラッキーキスだ。
バッドキスならNO!で構わないが、俺のキスはラッキーキスなんだ!」と言うのです。
ここまでくると、いったい何が目的なのかわかりません。
僕は「ラッキーキスはノーサンキューだ!」と言って逃げました。

まあインドでは、こんな攻防の連続です。


しかし、ガンジスの風景は、本当に言葉にしがたいものでした。

ガンジスの辺は群像劇です。
沐浴する人、洗濯する人、凧揚げする子供。
昼寝する野犬、糞尿をたれる牛、餌を探す山羊。
食事する人、絵を描く人、髪を切る人、拝む人、腰掛ける人、寝てる人。
ガンジスを眺めに来た、僕のような外国人。

そんな中で、火葬が行われます。

死体は次々に運ばれてきて、焼かれていきます。
10ほどの火が常に燃えていました。
薪の上に寝かされた死体は、2~3時間ほどで薪と一緒に灰になり、骨も何も残りません。
ガンジスの、群像劇のひとつです。

肉体は不確かなものだと思いました。

2~3時間もすれば、どれも例外なく灰になってしまうのです。

この世に存在するためには、肉体が必要です。

でも、肉体はこの世に存在する手段に過ぎません。

肉体の奥にあるものを見つめたいと思いました。

不確かな肉体よりも、確かなものが何なのか、考えたいと思いました。

ただその「確かなもの」は、ただガンジスを眺めていても悟れないでしょう。

何日、焼かれる死体を眺め続けても、悟れないでしょう。
ガンジスで沐浴したって、悟れないでしょう。

だから、あと数日ガンジスを眺めたら、次の町へ移動します。

ただダラダラして、限りある肉体を持て余したくありませんから。

確かなものなんて存在するのかわかりません。

それでも確かなものを探し続けます。
不確かな肉体が、灰になる前に。

皆さんの健康を願います。

皆さんと触れ合えるのも、肉体があるおかげですから。
ご自愛ください。
では、また。

バラナシのネットカフェにて



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