僕は公安やCIAの監視対象者リストに載っているが、ずっとそのことに気付いていなかった。それも数年間気付かなかったと言うものではなく、おそらく生まれた時点からリストに載っていて、対象者として何十年間も工作を受けていたにも関わらず、全く気付いていなかった。

 

つまり、自分自身の行動や考え方とは全く関係なくリストに載っており、彼らは自由に対象者を選定できる。それはまた、誰がどのような形で彼らの工作対象者になるか分からないことも意味している。

 

 一方で、そのような妄想が存在することも事実である。スパイに狙われていると主張しながらも、結局はそういう事実が存在しないことも多い。ただし、スパイは確実に監視対象者のリストを作っており、対象者を無害化する工作も実際に行っている。あるいは、そのような対象者をアセットとして雇用することもある。それが事実であるだけに、どこまでが妄想でどこまでが真実かを見極めるのは難しい。

 

 更に問題になるのが、このような工作対象者が対社会工作に利用されることである。スパイは何らかの形で電波工作で洗脳する対象者を選ぶ必要があり、基本的には、彼らのリストの中から選ばれる。ただし、どのような形でリストに含まれるか分からないため、自分自身がいつ狙われるかは誰にも分からない。

 

 大量殺人犯として洗脳されると通り魔や爆弾事件を起こすかも知れない。洗脳が開始されてから実行までにはタイムラグがあり、洗脳のやり方を知っていれば上手く逃れられる可能性は十分にある。

 

一方で、スパイや公安は違うリストから対象者を選ぶ可能性もある。彼らは犯罪者のリストももちろん保有している。その中には重罪犯がおり、彼らの方が洗脳しやすい。と言うのも、過去に重罪の経験があるため倫理観が低下している可能性があり、その場合は洗脳の時間が短縮できるだろう。

 

 あるいは、精神疾患を抱えている人も電波工作の対象者になっている。実際にそのようなケースが散見され、それはおそらく、外から届けた声を信じやすい状態にあるからだと思われる。その場合においても、洗脳までの時間が短縮できる。それと同時に、工作員は犯罪の言い訳を作ることも出来る。実行犯は精神的に病んでおり、犯罪はそれに起因すると別の理由を作り上げられる。

 

 彼らがこのような工作を行う場合、基本的には社会的不安を起こすことが目標であり、そういう理由を付ければ、彼らの初期目標が達成されると同時に電波工作が存在したことを完全に秘匿できる。

 

 これらのケースとは別に、電波工作の対象者がランダムに選ばれたように見える場合もある。電波操作の痕跡らしきものはあっても、どうしてその人が選ばれたか想像出来ない場合もある。工作員がランダムに対象者を選ぶケースは少ないはずであり、基本的には何らかの理由があるはずである。一方で、それが外部から見て分からないということは、誰でも工作の対象者になり得ることを意味している。