「対少子化政策の論点」を書いたのは、このままでは少子化問題も保育所問題も解決しないと思ったからである。この本は実際の政策に影響を与えており、書いたこと自体は無駄ではなかった。

 ただ、多くの人に読んで貰っているわけではないので、ここで目次を載せておく。この本は少子化の分析から始まって、それぞれの要点に分けられている。純粋に保育所行政を書いた本ではないが、それに関する6章と7章はかなりの分量がある。

 1章から4章までは分析になっており、その後の政策論はこれらに基づいている。保育行政以外では5章に不妊治療の話があり、8章に婚外子の話がある。そして、9章に全てがまとめられて結論となっている。

 

「対少子化政策の論点」から抜粋。(amazonへのリンク)

 

目次

 

1章 対少子化政策の分析枠組み

少子化をストレートに考える/合計特殊出生率/コホート出生率/人口置換水準/結婚出生率/合計出生率と結婚出生率/生物的近接要因と社会的近接要因と出生率分析/分析の視点/過去との比較/海外のとの比較/現状要因分析/まとめ

 

2章 結婚出生率の算出について

結婚出生率/結婚出生率の算出/合計出生率と結婚出生率の関係/出生調査との異同/まとめ

 

3章 婚姻・子供の数の減少と結婚と離婚

婚姻ファクターの動向/非婚化/結婚率が低下した理由/ヨーロッパとの結婚率比較/結婚という価値観の変遷/経済的要因と結婚/離婚と再婚の出生率への影響/まとめ

 

4章 結婚出生率の向上と理想の子供の数

晩婚化と結婚出生率/晩婚化と都道府県比較/ヨーロッパ内の合計出生率の関係/ヨーロッパの晩婚化と合計出生率/理想の子供の数と現実/兄弟の数と理想の子供の数/理想の子供の数を実現できない理由/理想の子供の数の国際比較/まとめ

 

5章 不妊と不妊治療

不妊症/不妊治療と保険適用/不妊症の頻度/女性の加齢とART/AIHの可能性/ARTによる着床率の向上/提供卵子と低流産率/男性要因/男性の加齢効果/正常な生殖行為と不妊状態とFPA/ARTの先に/まとめ

 

6章 出生を抑制する経済的要因

子育て費用/収入と出生力/保育費用の影響/海外との比較/子育て費用の負担感/保育以外の子育て費用/実際の保育費用/スピードプレミアムについて/日本でもスピードプレミアムは可か?/まとめ

7章 子供を産み育て易い制度設計

日本は産み育て易い国か?/女性の社会進出とその制度的支援/育児休業制度/父親の育児休業/その他の制度について/保育サービス/待機児童対策/保育士の必要人数/もう一つの問題・保育費用/未定員補償/国庫負担の見直し/シニア保育士/民改費のインセンティブの見直し/小規模保育所・保育ママ・ベビーシッター/地域子育て支援サービス/ まとめ

 

8章 婚外子比率と婚姻外パートナーシップ

婚外子の状況/婚姻外パートナーシップとPACS/法的効果(婚姻・PACS・同棲)/ヨーロッパにおける嫡出子と婚外子/婚外子の増加と出生率の回復/日本の内縁の制度/PACS導入の背景/まとめ

 

9章 論点の再構築と政策評価

少子化の起源/参照となる指標/合計出生率/結婚出生率/結婚率/離婚/再婚/婚外子率/晩産化支援/不妊治療/子育て制度利用/目標となる数値/合計出生率・人口置換水準以上/結婚出生率=理想の子供の数/結婚率は目標とできるか?/収入に占める子育て費用の割合/子供を産み育て易い国か?/男性の育児休業取得状況/待機児童数/対少子化政策を考える上で