以下の文章は2001年2月13日の金重凱之警備局長による国会答弁であり、漆間巌が電波工作で警備局長に就く前の発言である。

 

金重政府参考人ただいま警察庁の方で北朝鮮による拉致の疑いがあると判断しておるもの七件十名というふうにこれまで公表しております。それ以外にもあるのではないか、こういう御質問でございます。

 

私ども警察といたしまして、この七件十名の事案以外の行方不明事案につきましても関心を持っておりまして、そういう可能性というのは当然あるであろうというふうに思っております。したがいまして、関連情報の収集などに現在も努めているところでございます。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001815120010213004.htm

 

 金重局長はこの時点では拉致認定者を大きく拡大しようと考えていた。それに対して、漆間巌が警備局長に就任して数ヶ月でこの状況は大きく変化する。以下は2001年6月8日の答弁である。

 

漆間政府参考人ただいまの御質問の中で新たな情報という意味が、七件十名の事案に関しての新たな情報という意味でありますと、これは個別的な、具体的な事件についての話になりますので、その辺につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

 

それ以外の話で、一般的には、関係の各機関とか外国の当局とかそういうものと連携しながら、全体の、この七件十名についての全容解明、そのほかの関連の事案についてそれが本当に拉致という可能性もあるのか、そういうことを含めて、現在全力を挙げて解明に努めているところであります。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000215120010608016.htm

 

 この4ヶ月で警察の態度は大きく後退し、元々は多くの拉致を認定しようとしていたところから、それ以外に拉致が存在するかどうか確認するという態度に変化している。つまり、金重が多くの北朝鮮拉致の可能性があると言ったのに対して、漆間は本当に拉致という可能性もあるのかを調べると答えている。

 

 この4ヶ月間で起こった変化は1つだけで、金重警備局長が体調不良で入院し、そのまま退職し、漆間がそのポストに就いたことである。このように警察の姿勢を大きく後退させた人間が、同時に、拉致解決がライフワークだと言っている。

 

 漆間巌は北朝鮮と昵懇の関係にあるため、北朝鮮との交渉の中で大量の資金供給を伴うディールは結べるのかも知れない。ただし、お金を出すだけであれば、誰がやってもディールは結べるので、彼が拉致問題に関わる必要は全くない。

 

 それよりも、今後将来に向かって日本が北朝鮮に身代金を払って拉致被害者を取り返すのは不可能である。と言うのは、その資金は間違いなくミサイル開発と核爆弾に利用されるため、日本の安全保障が極端に危機的状況に陥るからである。

 

 逆に言うと、漆間巌や石川正一郎がやってきたのは北朝鮮を生き残らせるための工作であって、拉致解決自体は目的になっていない。そもそも、自分を北朝鮮に拉致させようとした人間が拉致解決を優先に考えているはずがなく、日本にとって、そして拉致被害者にとって、このような人たちが日本の北朝鮮政策を主導していることが悲劇である。だからこそ、これまでに多くの無為な時間が消費されていった。