この國松長官銃撃事件に関しては多くの本があるが、その中に興味深いものがある。それは新潮社から出ている本で「警察庁長官を撃った男」というタイトルである。この本の中では、更に違う人物が犯人として取り上げられている。

 

 ただし、それはまずない。この事件の容疑者の身長は180センチであり、ここで登場する人物は160センチである。前にも書いたが、この事件には銃創があるため犯人の身長はかなり狭い範囲で特定でき、それが低くなることはあり得ない。仮に特殊な姿勢だったとすれば容疑者の身長が高くなる可能性はあるが、低くなることはない。

 

 この本の発売日は2012年7月1日である。つまり、銃撃の指揮者として指名されていたオウム逃亡犯が出頭した後である。このタイミングは重要であり、そこには複数の意味がある。

 

 公安は銃撃を行ったのがオウムではないという社会的認識が起こる前に、新たな犯人像を作る必要があった。この逃亡犯は出頭後に銃撃事件の関与を否定しており、それは出頭という事実と乖離していた。また、この事件は時効を迎えており、彼はなおさら虚偽する必要がなかった。

 

 そのために、公安は別の人間を危険な容疑者として浮上させる必要があった。それと同時に、公安の捜査に不備があり、その結果として重要な容疑者に迫れなかったという方向性を導く必要があった。そうしなければ、北朝鮮が銃撃したという真実が露見する可能性があった。

 

 一方で、公安が逃亡犯の居場所を知っており、その逃亡幇助を行っていた事実が露見する可能性もあった。と言うのも、この時点までにマスコミを含めて多くの人がオウム逃亡犯と自分が一緒に働いていたことを知っていたからである。

 

 元々、公安は自分がオウムの関係者だと虚偽の情報を流したが、そのフレーミングが10日ほどで破綻し、今度は逆に公安が怪しまれる可能性が生じた。自分は香港で拷問を受けており、いろんな事件に関わらされており、その上でオウム逃亡犯と知り合いだったとなると、その事実自体が工作だったと理解する人たちが出てくる。

 

 実際に全てが工作だったが、それが露見するのは危険であった。と言うのも、ここまでに書いている通りで、オウム逃亡犯は長官銃撃事件の真実を隠蔽するための工作であり、それが分かると公安が銃撃犯を知っていたことも露見してしまう。

 

その銃撃を行ったのが北朝鮮だという事実が表に出る可能性があり、その隠避工作を行っていたのが公安の裏工作ラインであり、彼らが電波装置で自分や逃亡犯や銃撃自供者をマニピュレートしていたことすら露見してしまう。

 

 これらを避けるためには早急に新しい人物を犯人に仕立てる必要があった。この本自体に公安がどのように関わったかは分からないが、この本がこのタイミングで出版されることは渡りに船以上の意味があった。

 

 

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http://ameblo.jp/multifractal/entry-12207963381.html