この土地に着いてから数日間は新しい生活を始める準備に精を出していた。まだ香港から送った荷物は届いていなかったが、そもそも、ほとんどの荷物は倉庫に預けており、来る予定でもなかった。ここからの工作がそんなに長期に及ぶとは思っておらず、当面の生活に必要な日常品だけを少しずつ揃えていた。

 

 そういう状況の中で周りの環境も少しずつ理解しようとしており、自分の周りは危険ではなかったが、普通な感じもしなかった。自分の向かいの家の人は常に自分を怪しい人だという感じに見ており、何かを仕込まれていると思っていた。

 

彼のバックグラウンドが何か分からなかったが、単に偽情報が流されていると言うよりは、もっと根本的に警察の工作について理解していて、その上で協力しているように感じた。とは言え、何かをされることはなく、彼はただ単にガスライティングの一部を担っていただけであった。

 

それよりも自分のアパートの周りの部屋はもっと怪しかった。少なくとも自分の両隣は警官だと思ったが、その真実は分からない。事実としては広島の住所の書いた自転車が置いてあり、それは向こうから来た公安だと思う。と言うのも、その当時の本部長はその着任前に広島にいたからである。

 

 彼がここに異動してきたのは2013年2月であり、自分が引っ越したのは9月であり、そこまでには十分な準備期間はあったものの、彼にとっては元の任地の部下の方がまだ使い易かったと思う。

 

そもそも、ここで本部長になっているのは自分を落とすためであり、それ以外に理由があったと思えない。つまり彼は現場指揮官として送り込まれているので、公安のライン内の人材を幅広く徴用できたはずであり、一部の裏工作を露見しないようにするため、以前からそういう工作に関わっていた公安警官を連れてきたと思う。

 

 最早、電波工作もあからさまになっており、彼らが過去に殺人を含む組織犯罪を行っていたことも明らかになっており、公安が全ての指揮を担っていることを隠す必要すらなくなっていた。

 

そのため、彼らは明らかな裏工作を実行しなければならない状況に追い込まれていたが、それは自分に対して明らかなだけであって、地元の警官を含めて多くの人に伏せなければならない工作ではあった。そう考えると、元から電波工作に関わっている職員を利用する方が安全であり、彼らはそのような人材を利用したと思う。

 

 このように自分は彼らの完全監視状況下にあったが、それでも周りの家と揉めるようなことはなかった。監視されているのは分かったが、最初から監視されると思っていたので、このような扱いに関しては納得が行かないものの、想定の範囲内であった。

 

 

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