元々、諜報機関のアセットは公的機関の人間が対象であった。他国の機密情報を得るために、あるいは他国に政治工作するために、官僚や政治家をアセットとして獲得していた。そして、スパイも機密情報を得られるため、スパイもアセットとして獲得する対象であった。

 

 それと同時に、犯罪組織の構成員もアセットの対象になる。反政府組織やテロ組織内にアセットを抱えると、彼らの行動が把握できるようになる。彼らをアセットに抱えるのは、ある種、政府組織のアセットの延長線上とも言える。それは彼らが非政府の存在とは言え、政治的な対象だからである。

 

 これが一般的な犯罪組織になると微妙に変化する。例えば、諜報機関はマフィアやドラッグディーラーのネットワークにスパイを抱える。その場合も彼らが反政府組織やテロ組織と関わっている場合があり、延長線上とも言えなくはない。

 

どこまでの犯罪組織を対象にするかは、それぞれの諜報機関の業務範囲に依存する。CIAは組織犯罪の対策チームを持っているが、それは彼らの予算獲得活動と政治的要請の結果であり、そのように正当化されるとアセットへの予算が維持できるため、犯罪組織内にアセットを抱えられる。

 

 この対象者の拡大は違う方向にも進む。本来的な工作対象者をアセット化できない時に、対象に近寄れる人間をアセットにする方法がある。例えば、行政に出入りし易い学者をアセット化し、意思決定に影響を与える等である。彼らの一部は国外との接点が頻繁にあるため、アセット化し易いとも言える。

 

その意味では、マスコミも同じように行政や政治に近く、より深い情報を得られるため、アセット化の対象になり易い。それ以外の対象者に近い人間も狙われ、配偶者もターゲットにされる。諜報機関はそのようにしてアセット網を拡大させる。

 

 90年代以降、諜報機関の工作対象が経済に拡大する。それは時代の必要性に迫られた結果であり、冷戦の崩壊と共に諜報機関の必要性が低下する中で、一般の経済情報を諜報活動の対象とする必要が生み出された。当時においては、それがスパイ組織の生き残る道であった。

 

 その結果として、より普通の人がアセットの対象となる。それは経済情報を得るためであるが、これが更に拡大していく。普通の人が諜報機関のアセットとなり、諜報機関が自己組織化する過程で、更に普通の人をアセットとして獲得する。ただし、彼らは一般的な意味でクリティカルな情報に接することはない。それでも、彼らは工作に利用できるため、工作のコントラクターの形で諜報機関のアセットが増えていく。

 

 

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