スパイは長期に亘って工作を準備する。もちろん、対象者の状況に合わせる必要があるので、工作自体のインプロバイゼーションは必要になるが、それは短期間で工作を準備することとは異なる。工作のどの過程においても常に突然の変化は存在するかもしれないが、それは長期の工作の一過程であって、短期間の思いつきで工作を行ったりしない。

 

 それは根本的に難しい工作を行うからである。つまり、本来的には出来なさそうな工作や洗脳を行うため、どうしても時間が必要になる。また、思いつきで工作を行うと露見する可能性が高まる。それは露見しないような工作を準備していないからである。

 

 公安の工作を見ていると露見するような工作が多い。中国の諜報機関も国内で工作を行っている際は露見するような工作を行っていた。それは露見した場合でもなかったことにする自信があったからかもしれない。警察は圧倒的な権力を持っているため、警察が組織犯罪を行えば力尽くで事象が存在しなかったことにするため、工作が露見しなくなるような工作方法を採用する必要がなかったのかも知れない。

 

 それに対して、CIAの工作が日本で露見すると大きな問題になるため、彼らはバレないように工作しなければならない。それは日本で工作を行う時だけではなく、どの国においても大きな問題になる可能性があり、また、アメリカ国内においても彼らの工作が露見すると警察権力のように簡単には抑えられない。そうなると、彼らは思いつきで工作を行えない。

 

 また、それは免責の問題にも絡んでいる。免責されないような工作を行うと、彼らは日本の裁判過程で裁かれる可能性がある。それを避けるためには、常に免責されるような状況下にいる必要がある。つまり、不必要な工作は避ける方が良く、そのために思っている以上にスパイは慎重に行動する。

 

 その結果として、彼らは長期の期間に亘って、ゆっくりと露見しないような形で工作を行おうとする。また、ある工作をある瞬間だけに行うにしても、多くの時間を掛けて準備をする。

 

 例えば、自分が東南アジアにいる時に会ったスパイはダイビングのインストラクターをやっていた。その準備期間は半年と言っていた。逆に言うと、インストラクターになって工作対象者と接点を持ったり、あるいは工作に嵌めたりするためにはそれくらいの準備が必要になる。もちろん、元々、ダイビングをやっている工作員を用意すれば、それでかなりの時間を短縮できるが、その場合は利用できる人に限りが生じる。

 

 一方で、諜報機関のアセットが独自に工作を行う場合は露見するような工作でも行う。それは彼らの知見が不足しているからでもあるが、彼らは露見するかも知れないような工作も行う。つまり、より不可能に近い工作もやろうとするため、そのような場合はアセットが暴走していると分かる場合がある。

 

 

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