インドネシアに入って分かったことは他国のスパイがそのままいたことである。2012年後半に香港に戻った時、スパイは隠れず自分の周りにそのままいたが、2012年春に香港を離れるまではほぼみんな隠れていた。時々、CIAのエージェントらしき人たちが自分の周りに姿を現していたが、それは稀であって、表立って工作をすることは限られていた。

 

ただし、もしかすると中華系のスパイが沢山いたのかも知れない。そうなるとスパイであるかを確認するのも困難であり、どこのスパイかを特定するのも同じくらい困難になる。一方で、香港は中国の領域であるため、中国の本土ほどではないものの、西側のスパイが自由にスパイ活動をできる状況ではないため、基本的に隠れている必要性がある。2012年後半に彼らが姿を見せられたのは、諜報機関同士の共同オペレーションが露見してしまっていたため、それをカバーしても仕方がないと思っていたからだろう。

 

それに対して、インドネシアではスパイがそのままいた。自分は首都から入らず、地方都市から島へと流れて行ったので、彼らは定住のスパイネットワークを使い難く、どうしても自らでスパイ活動をする必要があったのかもしれない。そして、この状況はアジアの国ではどこでも同じだと思う。東南アジアで言うと、ベトナムのようにスパイ活動をやり難い国もあれば、タイやフィリピンのようにもっと入り易い国もあるが、彼らは香港以上に自由にスパイ工作を行っている。

 

自分が東南アジアから離れた理由の1つもそこにある。結局、インドネシアから他の国に移っても、一部の国ではスパイがフリーハンドで工作を行える環境にある。

 

この状況は日本においてもあまり変わらず、スパイはかなり自由に工作活動を行っている。大きな違いがあるとすれば、日本人の方が英語は喋れない。もちろん、国によって差はあり、フィリピンのように英語が喋れる人口の多い国もあれば、日本人よりも平均的に英語の苦手な国もある。

 

ただし、東南アジアの現地のエリートと様々な国から来るエクスパットは英語を喋れる。この点は重要であり、なぜなら、彼らが本来的なスパイの工作対象者だからである。軍隊や司法機関の中にはドメスティックな領域で出世してきた人がいるかもしれないが、それ以外のエリートはほぼ英語を普通に喋れる。特に、彼らの高等教育では英語が使われている場合があり、英語の能力はそもそも高い。

 

それに対して、日本ではエリート層でも英語を喋れない人が多い。日本語では十分な情報があり、より多くの人が日本語で高等教育を受けられるが、この結果として、スパイの工作には大きな差が生み出される。つまり、日本でのスパイ工作は日本語がかなり必要であり、東南アジアよりも言語の壁が高い。それを乗り越えるためには、日本人で英語を喋れる人を媒介のアセットとして利用する必要が生まれる。

 

アセット化されるという意味においては東南アジアも日本も工作の様態は変わらないが、東南アジアの場合は英語のみで工作が行えるのに対して、日本では日本語を話さなければ、工作の深さにかなりの差を生じさせる。もしかすると、それが理由で日本人に関しては多くの普通の人がアセットになっているのかもしれない。つまり、どうしても日本語を使える人を利用する必要があり、その結果、CIAのアセットが自己組織化し拡大した可能性がある。

 

いずれにせよ、自分がスパイを判断する上においても日本語は大きな役割を果たした。日本に帰ってきてから当初は島にいたが、スパイは極めて目立った。外人であればほぼ隠れられず、その中でその人がアセットかエージェントかを考えれば良かった。そして、それは日本人のアセットでも同じで、旅行者かどうかはすぐに判断でき、その上で、その人がアセットかどうかを判断すれば良かった。結果として、時間が経つと共に、スパイの実像が理解できるようになった。

 

 

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