ある地方を離れる時には、「絶対に捕まえる」と言われたが、そこを出て次の場所に着くと、今度は「ここは荒らすな」といきなり言われた。日本の警察はどうかしている。

 

自分は日本に長くいなかったので、警官の冬服がどんなものかを理解していなかった。振り返ると、その直前の7年間は冬に日本にいなかったので、警官がどんな格好をしているかも分かっていなかった。

 

その時に分かっていたのは自分がご飯を食べている後ろで聞こえるようにネチネチと悪口を言っている人がいることだった。そのようなことはそれまでにも頻繁にあったが、数十分も言い続ける人も稀であり、特に、自分が誰か知っている前提で言い続ける人も稀であった。

 

その彼の言い分を要約すると、ここは自分たちのシマだから荒らすなということだった。それを永遠と続けられるとあまりにも腹が立ってきて、直接に言い返してやろうと思って、まずは彼がどこの人なのかから始めることにした。それは彼が自分のシマを荒らすなと言い出したからでもあった。

 

ただ不思議なことに、彼は自分がどこの人間か一切言わなかった。それまで散々非難を並べ立てていたにも関わらず、直接に話しかけると、その攻撃性は維持されたままであったが、自分の素性すら明かすことはなかった。自分が分かったのは、彼の隣で困惑している同僚がいることと彼らが制服を着ていることだった。

 

制服を着ているのに、どうしてどこに所属している人間か言えないのだろうと思ってしばらく考えていたが、それが警官の冬服であることに気付いた。そして、実際に警察で確認すると、それは警官の制服で間違いなかった。もしかすると、警察の制服を着ていると、何も言っても大丈夫だと思ったのかもしれない。

 

そして、実際にそれは正しい。自分はこの時以外にも制服を着た警官と何度も話しているが、彼らに対しては口も行動も慎んでいる。それは不必要な行動が全て公務執行妨害となり、犯罪行為になるからである。ただし、それが認められるのは警察が法律を維持する役割を担っているからである。警官の制服を着ていたら、何をしても良くて、何を言っても良いと思うのは大きな勘違いである。

 

それと同時にその小さな食堂で起きたことが意味しているのは、警察のトップの指示がこの細部まで行き届いているということであった。その指揮命令系統は機能していると理解すると同時に、ここまで警察の役割を無視できるくらいにまで、警察の組織は腐っているということも良く分かった。

 

そもそも、警察の役割は自らの領域を設定し、その中で駄賃を稼ぐことではない。仮に彼が言ったことが自分に向けられていないとしても、彼が自らの領域を設定して、その中で駄賃を稼ぐことが警察の仕事だと認識していることには変わりはない。

 

警察の仕事は法の支配を貫徹させることによって、国民が安全に暮らせるところに目標がある。それは法の支配が前提であって、警察は恣意的に国家の安全の内実を決められない。警察には国家がどうあるべきかを設定する権限はなく、それは国民とその代表者である国会にしか存在しない。

 

警察は何があっても主権者ではなく、彼らがそのように考えている権限の源泉自体を制限する必要がある。

 

 

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