CIAエージェントは一般のCIAのアセット指す言葉として使われている。ただし、その語法はおかしい。エージェントは代理できる人を指しており、例えば弁護士のように完全に代理できる外部の人を指している。一方で内部の人に対しても用いられることがあり、それでもやはり組織の代理となることを指しており、FBIエージェントのように使われる。

つまり、CIAエージェントはCIAの職員を意味している。

ただし、諜報員は特殊な部分があり、ダブルエージェントと言う場合がある。つまり、他国のエージェントを自国のスパイとしてアセットにすることである。その場合、そのスパイは他国のエージェントであるため、本質的にエージェントの意味をなしている。

ところが、どこかの段階からこのCIAエージェントという言葉が一般のアセットを意味するようになっている。諜報機関がアセットを運用する場合、それは協力者や情報提供者やダブルエージェントが一般的になる。それらは政府の官僚やスパイとして働く人たちを指している。彼らはアセットとしての目的が明確であり、そもそもエージェントである必要性はなく、そもそもCIAエージェントと呼ばれることを好んでいるとも思えない。

ただし、一般の人をスパイとして徴用した場合、彼らはスパイではあるが、スパイと呼ばれることを好まないような一般人である可能性が高い。本質的にはCIAのスパイであり、アセットであるが、それ以外の呼び名が必要になる。とは言え、彼らは協力者でもなければ、情報提供者でもなく、そのようなアセットの価値はない。

それよりも、それらのスパイは諜報機関が経済情報を盗んだり、企業の活動を制御するために利用されている。彼らのやっていることはスパイそのものであるが、そうは呼べないためにCIAエージェントと呼ばれる。そのCIAエージェントは裏仕事も引き受ける。経済情報を盗むのは十分に犯罪であるが、殺人を含めた犯罪活動を行うのも、このような「CIAエージェント」になる。

日本にいるCIA職員数は限られており、それだけでは彼らの工作の範囲には限度があり、影響力にも限度がある。いろいろな領域で協力者を獲得できたとしても、それだけでは工作活動に限界があり、裏工作を必要とする場合がある。CIAが犯罪行為によって相手を制御する必要性が生じた際に、それを代理に行う人たちが必要であり、それをうまく徴用するためにCIAは彼らをCIAエージェントと呼んでいる。

つまり、CIAエージェントと言うのは現実的には存在しないタイトルであり、語義的にはCIAの職員を意味するが、一方で、自らをそう認識している人が多数存在する。それは日本だけでなく、他の国でも同じかもしれない。CIAがCIAエージェントという名前をアセットに与えることによって、裏工作に徴用できるアセットを確保している。しかし、現実的にはアセットはアセットとして扱われる。