産業構造の転換19・創造力を活かせる環境づくり

いろいろ現状の問題を概観してきましたが、では、どうして行くのかということを考えたいと思います。そもそも表題が産業構造の転換にしていることからも明らかなように、日本の産業構造は転換していく必要があると思っています。それが設備の過剰や労働の過剰や資本の過剰を吸収するものになると思っています。


ただし、その産業が何かという答えはありません。何かを創出することが必要であって、それは日本人の創造力に依存することになります。日本人の創造力に依存すると言っても、マクロ的に考えたときに必要なことはあります。


まずは民間と国の関係をしっかり見つめ直す必要があると思います。日本は国の関与が過剰な側面がまだあると思います。国はもっとサポートに徹するべきで、創造力を発揮し易い環境を作るべきだと思います。


一つにはもっと規制緩和をして、健全な競争環境を作る必要があると思います。不必要な障壁を作ることに国が関与すべきではないと思います。


もう一つは、創造力がうまく軌道に乗るようにサポートすることだと思います。それは税制優遇や補助金等々の形で、うまくインセンティブをつけることは可能だと思います。


結局、地道に研究開発をして、そこから花を開かせるというのが本道になり、それをどうやって支えるかということが必要なんだと思います。それは、もちろん、個人や企業の能力や努力に依存しますが、ベンチャーや国のサポートを通して、成功の確率を上げることは可能だと思います。


それから、初期研究の失敗には鷹揚になるべきだと思います。通常は失敗を繰り返した先に成功があるわけなので、失敗は成功以上に大量に発生すると思います。個別案件の成否を問うのではなく、案件全てを統合した上で、その成否を測るべきだと思います。日本社会全体に言えるのかもしれませんが、もう少し失敗に対して寛容になるべきだと思います。