一年前の段階ではもっと金融緩和をすべきだと思っていたという話を書きましたが、実際のところも、そういう風に書いています。当時の論点というのは、日銀のインフレ予想がおかしいのではないかと言うものです。


当時、日銀は金融緩和策を取っていましたが、今まで一番の金融緩和という訳ではなく、政策金利を0.1%にすることと、短期よりも少し長いところの金利を低く誘導する政策を取っていました。その前提にあったのは、去年の末にはインフレ基調になると思っていたからです。


実際のところ、去年はインフレ基調にならず、物価はかなり下がっていったので、日銀の当初の想定は間違っていたと思うし、もっと金融緩和政策をするべきだと思っていましたが、その後、包括的金融緩和ということで秋には追加的な政策を実施しました。


この流れと言うのは、ある意味、日銀の当初の政策によりデフレ基調が止まっていないということがハッキリしたので、追加的な政策を実施したということなんだと思います。


金融政策の中で難しいのは、政策の効果というのがすぐに出てくるわけではないので、一度実施してしまうと、数ヶ月の単位で変更するのが難しくなってしまいます。


いずれにせよ、当初の日銀のインフレ想定が甘かったのは間違いないと思いますが、その後に変更をしたので、それなりの自己修正機能が働いたんだと思います。


そして、今、ここでもっと金融緩和をすべきなのかという話ですが、日銀の中にも追加的な金融緩和を求める人もいるし、景気が更に悪化するなら追加的な金融緩和も考えるという日銀の方針も出ているので、そういうことも有り得るのでしょう。


ただ一義的には、物価の動向なので、物価上昇が見られる中で、大規模な金融緩和というのはやりにくいというのが現状のような気もします。更なる景気悪化という話の背後には、需要低下に伴う物価の下落が含まれているような気もするので、物価の動向というのが大切になって来るんだと思います。