ダイヤモンドで野口さんがクラウディングアウトの話を書いていたので論評します。まだ全部書き終わったわけではないようですが、たぶん重要な話は一回目のところにあったようなので、このまま出すことにします。
ちなみに、野口さんの書いたものは、
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/diamond-20110513-04/1.htm
長期金利が上がることを気にしているんだと思いますが、それに沿って考えてみたいと思います。
まずですが、国債を発行して、民間の資金需要が抑制されるというのは、ここ10年間見られた現象です。確かに、民間がバランスシートの強化を目指していたので、そもそも民間の資金需要がなかったと言うこともできますが、銀行が頑張れば、その資金需要は開拓できたと思います。その必要性を感じなかったのは、国債が大量に発行されてきたからです。このこと自体は低成長の原因だったと思っているので、ずっと問題だと思っています。
その構造の中では金利が上昇することがなかったので、そういう意味ではクラウディングアウトとは違う現象だと言うことは可能だと思います。ただ、野口さんは資金需要の取り合いのことをクラウディングアウトとして説明しているので、ここをどう認識しているかというのは確実ではないですが。念のためですが、その説明がおかしいということではなく、実態的にどこまでのことを指しているのかを、こちら側が誤解している可能性があるということです。
いずれにせよ、ここからの局面を考えると、復興のための民間需要が増え、国債も新規発行されるので、金利上昇が起こり、民間需要が抑制され、クラウディングアウトになると言いたいんだと思います。
ポイントが三つあります。一つ目は貯蓄です。金利上昇を伴うという前提の中には、民間の貯蓄が減り、投資が増えるということがあります。貯蓄が減るのに、民間の投資と国債が増えるので、金利が上がるということがあります。個人的な感覚ですが、こういう災害が起こった際には、将来への不安が高まるので、通常は貯蓄が増えると思います。もちろん、被災地では貯蓄が減るという現象が起きますが、日本全体で考えると、貯蓄が増えるような気がします。
次の問題はタイミングの問題です。国債発行はおそらくかなりの短期間に行われると思います。それに対して、民間の投資需要というのは瞬間的な発生は限られていて、それよりも今後3-5年掛けて発生してきます。
そもそも政府の資金調達とは違って、民間の投資というのは時間を掛けて発生して行きます。投資主体のことだけを考えると、大部分の資金アウトは投資後ということになるかもしれませんが、実際の工事のお金は進行的に掛かるので、経済的には投資は時間を掛けて発生するんだと思います。また、民間の意思決定自体は決定者によってタイミングがずれるので、そもそも一斉に投資が発生するというのは少し考えにくいです。もちろん、ある程度のまとまった時期に意思決定ということはあるかもしれませんが、お金の流れがある短期間に集中するということは考えにくいです。この時間のタイムラグの間に、十分な資金循環があるような気がします。
もし貯蓄が一定、あるいは減少するという前提で、需要のタイミングも一定だという前提であれば、クラウディングアウトは起きるでしょう。長期金利が上がって、民間の資金調達は抑制されるでしょう。物理的には国債発行分だけ民間の資金調達が難しくなります。10-20兆円分だけ。ただ、日本の長期金利が上がるんだったら、一部の資金は海外からも調達できるようになるとは思います。
もしクラウディングアウトが起きて、海外からも資金調達できないという前提の中で、10-20兆円以上に資金調達が難しくなるのかという話です。それが起こる要因としては、長期金利が上昇するからです。それが本来的なクラウディングアウトということです。ただ、大幅な上昇は考えにくいです。それが三つ目のポイントです。
長期金利がどれくらい上がるかということですが、今回の新規国債の発行によってびっくりするほど上がるとは思えません。10年モノが大幅に上がるのは少し想像が出来ません。たぶん、野口さんに誤解があるんだと思いますが、新規国債の発行によって金利が上がらないと思っている人は、そんなにいないと思います。実際のところ、10年モノの金利は、3月の日銀の介入後一度下がり、その後上昇局面に入りましたが、また下降しています。新規国債が発行されるというのが分かっている前提で、金利はこのように動いています。少なくとも、これは大幅な変化がないであろうことを示しています。
そもそも、仮に長期金利が3%になったとしても、そんなに投資マインドを下げるとは思いません。もちろん、限界的な影響があるのは間違いないですが。本来的には、それは普通の金利レベルであって、今の金利レベルがおかしいんだと思います。通常は緩やかな金利上昇局面は投資を誘発するので、そもそも大きな問題だとは思いません。
これは羹に懲りて膾を吹くというよりは、羹の味を忘れて膾を吹くという感じがします。そもそも政府が名目3%の長期成長を目指すんだったら、長期金利は3%になっているはずなので、そのレベルに対する違和感は全くありません。
とは言っても、金利上昇を伴うクラウディングアウトの可能性が全くないわけではないので、可能性を提示することは意味があるのかもしれません。ただ若干、現実から遊離しているような気がしますが。
では金利上昇が起きたときにどうなるかを考えてみたいと思います。
ちなみに、野口さんの書いたものは、
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/diamond-20110513-04/1.htm
長期金利が上がることを気にしているんだと思いますが、それに沿って考えてみたいと思います。
まずですが、国債を発行して、民間の資金需要が抑制されるというのは、ここ10年間見られた現象です。確かに、民間がバランスシートの強化を目指していたので、そもそも民間の資金需要がなかったと言うこともできますが、銀行が頑張れば、その資金需要は開拓できたと思います。その必要性を感じなかったのは、国債が大量に発行されてきたからです。このこと自体は低成長の原因だったと思っているので、ずっと問題だと思っています。
その構造の中では金利が上昇することがなかったので、そういう意味ではクラウディングアウトとは違う現象だと言うことは可能だと思います。ただ、野口さんは資金需要の取り合いのことをクラウディングアウトとして説明しているので、ここをどう認識しているかというのは確実ではないですが。念のためですが、その説明がおかしいということではなく、実態的にどこまでのことを指しているのかを、こちら側が誤解している可能性があるということです。
いずれにせよ、ここからの局面を考えると、復興のための民間需要が増え、国債も新規発行されるので、金利上昇が起こり、民間需要が抑制され、クラウディングアウトになると言いたいんだと思います。
ポイントが三つあります。一つ目は貯蓄です。金利上昇を伴うという前提の中には、民間の貯蓄が減り、投資が増えるということがあります。貯蓄が減るのに、民間の投資と国債が増えるので、金利が上がるということがあります。個人的な感覚ですが、こういう災害が起こった際には、将来への不安が高まるので、通常は貯蓄が増えると思います。もちろん、被災地では貯蓄が減るという現象が起きますが、日本全体で考えると、貯蓄が増えるような気がします。
次の問題はタイミングの問題です。国債発行はおそらくかなりの短期間に行われると思います。それに対して、民間の投資需要というのは瞬間的な発生は限られていて、それよりも今後3-5年掛けて発生してきます。
そもそも政府の資金調達とは違って、民間の投資というのは時間を掛けて発生して行きます。投資主体のことだけを考えると、大部分の資金アウトは投資後ということになるかもしれませんが、実際の工事のお金は進行的に掛かるので、経済的には投資は時間を掛けて発生するんだと思います。また、民間の意思決定自体は決定者によってタイミングがずれるので、そもそも一斉に投資が発生するというのは少し考えにくいです。もちろん、ある程度のまとまった時期に意思決定ということはあるかもしれませんが、お金の流れがある短期間に集中するということは考えにくいです。この時間のタイムラグの間に、十分な資金循環があるような気がします。
もし貯蓄が一定、あるいは減少するという前提で、需要のタイミングも一定だという前提であれば、クラウディングアウトは起きるでしょう。長期金利が上がって、民間の資金調達は抑制されるでしょう。物理的には国債発行分だけ民間の資金調達が難しくなります。10-20兆円分だけ。ただ、日本の長期金利が上がるんだったら、一部の資金は海外からも調達できるようになるとは思います。
もしクラウディングアウトが起きて、海外からも資金調達できないという前提の中で、10-20兆円以上に資金調達が難しくなるのかという話です。それが起こる要因としては、長期金利が上昇するからです。それが本来的なクラウディングアウトということです。ただ、大幅な上昇は考えにくいです。それが三つ目のポイントです。
長期金利がどれくらい上がるかということですが、今回の新規国債の発行によってびっくりするほど上がるとは思えません。10年モノが大幅に上がるのは少し想像が出来ません。たぶん、野口さんに誤解があるんだと思いますが、新規国債の発行によって金利が上がらないと思っている人は、そんなにいないと思います。実際のところ、10年モノの金利は、3月の日銀の介入後一度下がり、その後上昇局面に入りましたが、また下降しています。新規国債が発行されるというのが分かっている前提で、金利はこのように動いています。少なくとも、これは大幅な変化がないであろうことを示しています。
そもそも、仮に長期金利が3%になったとしても、そんなに投資マインドを下げるとは思いません。もちろん、限界的な影響があるのは間違いないですが。本来的には、それは普通の金利レベルであって、今の金利レベルがおかしいんだと思います。通常は緩やかな金利上昇局面は投資を誘発するので、そもそも大きな問題だとは思いません。
これは羹に懲りて膾を吹くというよりは、羹の味を忘れて膾を吹くという感じがします。そもそも政府が名目3%の長期成長を目指すんだったら、長期金利は3%になっているはずなので、そのレベルに対する違和感は全くありません。
とは言っても、金利上昇を伴うクラウディングアウトの可能性が全くないわけではないので、可能性を提示することは意味があるのかもしれません。ただ若干、現実から遊離しているような気がしますが。
では金利上昇が起きたときにどうなるかを考えてみたいと思います。