先日の復興構想会議の中で、恒久的な復興税の意見が出ていました。宮城県知事が出した意見ですが、岩手県知事は増税自体に反対なので、すぐにこの議論が進むわけではないですが、思うところを書いてみたいと思います。


宮城県知事が恒久的な災害対策税の意見を出されたのは良心からだと思います。日本はそもそもいろんな災害があって、地震や台風や洪水等の頻度の高いものから、今回の地震・津波や火山の噴火まであります。今回の規模のものがまた起こってしまうと、またとても大変なことになってしまうし、それぞれの災害と復興費用のことを考えると、恒久的な災害対策税というのが必要だと感じるのは、とても理解できます。


ただしですが、もし日本政府全体の借金が今の規模でなければ、復興税の話は起こっていません。問題は、今の日本の借金が多すぎて、それほど自由に新しい国債を発行できないところにあります。歳出という意味で、今回のような災害に柔軟に対処するためには、そもそも、もっと日本の借金を減らすことが大切だということになります。


”恒久的”な災害対策税というのは議論としてはわき道にそれており、そのわき道に入ってしまうと、本当の問題が見えなくなってしまいます。本筋の問題は、日本の国債発行残高に道筋をつけることです。


宮城県知事は100%の良心からこの議論をされているんだと思いますが、この意見をおそらく最初に主張されたと思われる政府の参与の方が同じくらいの良心に基づいて主張されたとは思っていません。


そもそも、税金を増やして官僚が使い道を決めると、とても効率的で日本の景気は良くなると日頃から主張されている方が、こういう局面で、”恒久的”な復興税制の話を持ち出してくるのには、非常な怪しさを感じます。


いずれにせよ、今は国債を発行してでも、政府は予算を増やすべきだと思いますが、長期的に大切なことは”恒久的”な復興税や復興税制の話ではなくて、大変な災害が起こったとしても、すぐに何十兆円もの国債発行で対応できるくらいの財政余力を持つことだと思います。現状を肯定した上で、屋上屋を架すのは正しい議論だとは思いません。