金融政策の話を書いている中で、他国の中央銀行にも触れたので、その話を書いてみたいと思います。


世界の中央銀行の中で重要視されているのは、アメリカのFRBとヨーロッパのECBと日銀になります。リーマンショック後に3機関だけで共同で流動性を供給しており、その他の機関とは異なります。


日銀は日本なので、他の機関に比較すると重要性が劣るような気はしますが、危機が発生した際には日本が東南アジア諸国等に為替スワップを保証したりするので、アジアの中では重要な意味を持っています。また、日本は貯蓄率が高く、経常黒字が長く続いているので、日本の金融政策は間接的に世界に影響を及ぼすので、それも重要視されている理由の一つだと思います。


FRBと日銀は一義的にその帰属する国民のために存在するので、ECBとは性格が異なります。ECBはユーロを管轄しているわけですが、多くの国にまたがることもあって、それぞれの地域の雇用や景気を気にすることは少なく、ユーロ圏のインフレに対処することが主たる政策になります。


ECBは今月に入って利上げしましたが、それはインフレ対策です。ここには何点か問題があると思います。まず、ユーロ圏の中には景況感に差があり、主要国は景況感が良く、周辺国は景況感が良くないです。その周辺国にとっては、ここで利上げされると景気にはマイナスの作用が出てきますが、それはECBが基本的に取り組む問題ではないとなります。


これは周辺国にとっては由々しき問題ですが、主要国にとってはインフレを継続させることの方が問題になります。ここには大いなる認識の差があります。


最近、この周辺国はPERIPHERALと呼ばれていますが、意味合い的には周辺ですが、かなり侮蔑が込められているように思います。一つには、PERIPHERALが重要ではないということで、もう一つには、PERIPHERALの財政問題が突出しているからだと思います。


いずれにせよ、主要国と周辺国には対立があり、と同時に、周辺国は主要国がなければ存続が成り立たないので、従属関係に見えるときもあります。


こういう環境の中でECBは利上げの政策を通しています。ECBはどの中央銀行よりもインフレに対して厳しいと思います。これはドイツのブンデスバンクの伝統を引き継いでいるのだと思いますが、ブンデスがインフレに厳しかったのは戦間期にハイパーインフレを経験したことが大きな理由だと思います。その混乱の中でナチスは登場してきます。また戦後の成長においても、安定した通貨が寄与したと考えられており、歴史的経緯が大きな意味を持っていると思います。


今のECBのトップはフランス人ですが、彼もこのブンデスの影響を受けていると思います。彼はユーロ創設の際に関わっているメンバーですが、フランスがユーロ創設で合意した背景には、インフレ対策と弱い通貨の問題がありました。フランスは何度かマルクに対して切り下げを余儀なくされていました。それを避けるためには、マルクと一緒になるというのが選択肢の一つで、その過程を考えると、フランスもドイツ的なインフレ対策を受け入れたと言えます。


ここからが二つ目の問題なのですが、利上げによってインフレはどうなるのかということです。それは次回に考えたいと思います。