日銀・白川さんの主張するデフレ・経済成長に話を進めましょう。白川さんはこの週刊ダイヤモンドのインタビューの中で、潜在成長率と予想インフレ率がリンクしている話を論じています。つまり、潜在成長率の低下が予想インフレ率の低下を導いていると。そこで白川さんは図表を提示していますが、確かに、潜在成長率の低下が予想インフレ率に影響を与えているようです。


では、これはどういう意味なのか考えて見ましょう。
まず、潜在成長率ですが、少なくともここでの日銀の推計は、生産関数モデルに依存しています。数字の流れとしては、バブルの頃にピークを迎え、山一・長銀破綻後にボトムをつけ、2007年に向かって上昇トレンドを描いた後、現在また低下局面にあります。


生産関数モデルによる潜在成長率は、分かり易く言うと、労働の伸びと設備の伸びで計算されています。そこに平均的な失業率や設備稼働率や設備の陳腐化等々が加味されていくことになります。


ちなみに、日銀の推計値とおぼしきものは、以下の日銀のペーパーの中にあります。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2009/rev09j13.htm


ここのページ3の図2が日銀が正式に使っている潜在成長率の推計値のグラフだと思われます。


これを前提に、日銀が何故潜在成長率の低下を主張しているかということですが、まず90年代の世界的な技術発展は目覚しく、設備の陳腐化が予想以上に進歩したということが挙げられると思います。また、陳腐化と同時に不必要になった設備が増えたため、稼働率自体も趨勢的に下がっていると。


もう一つは労働側ですが、ポイントが二つあって、2000年代以降の要因として、労働力の減少を挙げているように思われます。ただ90年代に関しては、労働力自体が減少したわけではないので、その説明は使えません。日銀は明確には言ってないですが、90年代には構造的な失業率が増加していると考えているようです。あるいは、少なくとも、潜在成長率の計算上において、構造的な失業率が上昇するように計算しています。


それではもう一方の予想インフレ率に関してですが、これは民間のエコノミストのコンセンサスを使っているようです。5-10年先のインフレ予想の平均値に近いものを予想インフレ率として提示しているようです。


このインフレ期待というものが実際のインフレに影響を与えているという考えのもと、この予想インフレ率を提示しているんだと思います。


では、次は、何故、潜在成長率と予想インフレ率のグラフを出してきて、それが相関しているという話を持ち出したか考えて見ましょう。