与謝野さんはおかしい。年金の基礎部分の全額税方式は制度設計は難しくない。難しいのは決断をすることであって、設計をすることではない。与謝野さんが社会保険方式を維持したいという意思を持っているのは理解するけど、政治家として自分の主張を曲げる必要があるなら、そうすべきだと思います。


社会保障のあり方について一回目のヒアリングをして、基礎部分の税方式が多数を占めることになったわけですが。労使の代表者が言っていることが必ずしも日本の意志とは限らないですが、社会保険方式を維持するという意見がそれほど支持を受けいていないのも理解するべきです。


90年代に小選挙区制が導入された際に、野中さんは選挙区の区分けの仕事をやりました。野中さん自体は小選挙区に賛成ではなかったですが、制度導入が決まった後で、野中さんが官房長官になったわけで、好むと好まざるに関わらず、粛々と制度を執行させる必要があったわけです。


与謝野さんの現状の立場は同じで、おそらく年金の基礎部分の税方式意向が世の中の流れで、与謝野さんが違う意見を持っていたとしても、そこは流れの中で決断をすることが政治家の仕事だと思います。それが出来ないのであれば、最初から今のポジションを受けるべきではないし、それが出来ないのであれば、早く引退すべきです。与謝野さんはものごとをまとめる立場にあるのであって、確かに自分自身の理想を具現化する近い場所にいるとしても、それが求められていないのであれば、自分の意見を心に秘めて、やるべきことをやるべきです。


全額税方式の問題点はそれほど多くありません。一番の問題は必要な資金が多すぎることですね。今、日本政府は背番号制に近いものを導入して、資産と収入の捕捉をしようとしています。元々の狙いは脱税の捕捉と、もう一つが年金の不払いの捕捉ですね。それに付加的に社会保障のより効率的な配分を目指しているんだと思います。冷静に考えたときに、年金の基礎部分を資産家に配分する必要はありません。背番号制を導入して、資産家に年金の基礎部分を払わなければいいんです。レベルの区切り方にもよりますが、1-2割くらいは減らせると思います。


そして全額税方式にすると、必然的に高齢者にたいする生活保護がなくなります。現状の生活保護受給者の大部分が高齢者なので、その交わり部分を支払わなくても良いと考えると、現在計算されている年金費用よりも減ります。


そう考えると、逆ミーンズテストと生活保護の交わり部分を足して、今の計算より2割くらいは削減できます。消費税の地方税部分をどうするかという問題はあるにしても、年金部分だけで消費税7%以下というのは可能な範囲です。


それ以外のメインの制度移管上の問題点は起訴部分の代行と障害年金ですね。代行に関してはとても難しい議論ですが、今までの流れで考えると、代行を返上するか返上しないかに収斂させれば済む問題のような気がします。PBOの計算に基づいて、ある程度の資産を抱えている年金基金等に関しては、代行を返上しないという選択肢を取るところもあると思います。無理矢理一元化の議論をするよりも、彼らに選択の余地を与えればよいわけで、代行を返上するのであれば、GPIFに移管するか、国庫の中にお金を納めれば済むだけだと思います。


もう一つの障害年金に関しては難しいですね。今までの制度から完全に浮き出してしまうので、別枠で考えるしかないと思います。本質的には、税方式に移管して、生活保護よりも条件が良いところで落ち着かせるしかないでしょうね。今でも、政府拠出分は理論的には障害年金にも流れているわけなので、実質的な大きな変化があるわけではないと思います。


後は、その中でGPIFの資産規模をどうするかですね。個人的には、全額税方式にして、その上の部分に関してはGPIFのお金で賄えると思うので、GPIFからお金を国庫に移すのではなく、彼らが今のままで運用していけば良いとは思います。ただし、GPIFはあまりにも巨大で、その巨大さゆえに効率的に運用できる機関ではないので、今後どういう方向性を取るかというのは議論しても良いとは思います。いずれにせよ、制度設計上の本質的な議論ではないと思います。


年金の基礎部分を消費税に明確に移管すると、政府はそこに対する自由な裁量権はありません。要するにより資金が必要になって消費税率を上げるのであれば、常に国会で議論されるわけで、常に拠出と給付のバランスが議論されます。これは今までにない良いことだと思います。世の中の議論を見ていると、どんどん消費税率を上げていく話がありますが、そのときになれば分かりますが、世の中はそんなに目に見えるほど単純に決定がなされるわけではありません。この作業は常に最適点を追及していくことになるので、日本のバランスがその時々において決定されるので、一定多数の納得感は得られると思います。