よくよく考えてみたら、金融規制をすると株式が下落するのは当たり前ですね。金融規制の質にももちろんよりますが、アメリカの規制にせよ、ヨーロッパの規制にせよ、流動性を下げる規制を導入したり、導入しようとしているわけですね。



株式市場に入ってくるお金というのはそもそも大抵は株式にはそれなりの高いリスクがあると分かって入ってきているわけなので、流動性を下げる方向性で規制をすると、もちろん、その高いリスクが顕在化するわけなので、少なくとも瞬間的にはお金が株から逃げて行きます。そうなれば、株が下がって当たり前ということになります。



株式に入ってくるお金にはどうしても投機的な側面があるわけで、それがものの道理というものなんだとつくづく思います。空売りというのはそういう市場の下落を抑える側面はありますが、加速するという側面はおそらくないです。



こういう風に書くと不思議に思うかもしれませんが、空売りがあることによって、ものの値段というのは不必要に上がったりしません。たとえばですが、ライブドアの株がすごい勢いで上がっていた時期がありましたよね。確かに、ライブドアの将来に対する期待があって上がっていた側面もありますが、同時に、空売りができなかったから上がっていた側面もあります。



当時、ライブドアは幾度も株式分割をしていました。経営者の意図が本質的にどこにあったかはここで議論しませんが、少なくとも結果としては、株式分割から数週間は空売りができませんでした。今はルールが変わったので昔とは違いますが、当時は、株式分割をしたあとに株券を刷る必要があって、その間は株式が借りれなかったわけですね。そうすると、誰も空売りできないし、そこに会社に対する期待が加わると、株価がどんどん上がっていくわけですね。



空売りができるとこんなことは起きにくくなります。中国も良い例ですね。中国が青天井に上がっていたときも、空売りという行為がなかったので、みんな買う以外の方法はないし、買いが買いを生む状況になっていたわけですね。



空売りにはもうひとつ効能があって、それは株価が大幅に下落した局面に、空売りした人が買い戻すことです。要するに、どんどん下落している局面ではそこで買い向かうことは勇気がいるのですが、空売りしている人は買い戻す必要があるので、その局面で勇気如何にかかわらず買うわけでね。



前にも少し書きましたが、結局、空売りをなくしてしまうと、ある瞬間は値段が安定的になることはあるかもしれませんが、価格が落ちだすと、みんなが投売りをして、誰も買わないという可能性がより上がるので、下への変動が大きくなります。ちなみに、上への変動も同じことで、空売りができないと、上への変動も大きくなります。



市場というのももちろん失敗をするものなので、何らかの規制というのは必要だと思います。ただ、それはもっと長い目で考えないと、思いもしない結果を生み出したりするものです。今回の世界中での規制を見ていると、不動産市場の加熱を抑えるための中国の規制が一番まともに見えるのはとても不思議な気分です。



もちろん、政府というのは市場を規制する権力を持っているので、基本的にはどんなことでも可能だと思います。今回はドイツが新しい規制を導入して、ドイツ政府が短期的に世界に影響を与える力を依然として持っていることが分かりました。短期的にマイナスの影響が出たとしても、長期的により良い効能があるんであればいいですが、長期的にマイナスだったら、どうしようもないですね。



政治家というのは目前の選挙のために魔女狩りをして、魔女をいけにえにすることによって、歓心を得たいんだと思いますが、今回の場合、それが魔女ではなく、市場の価格適正化に資するものだったとしたら、後で大きな災難になるかもしれません。



個人的には、ドイツの政治家が「悪魔」だと思っているものが、ホントに悪魔だという確信はないです。アメリカの政治家は「悪」の核心をより捉えているような気がしますが、それは彼らが生み出したものだからであり、でも、効きすぎる薬をのんで副作用が出るような気もします。



副作用が短期的なものであればいいんですけどね。