今回も経団連の「豊かで活力のある国民生活を目指して - 経団連成長戦略2010」について書きます。
リンク先に経団連の成長戦略があります。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/028/index.html
前回は成長戦略の最後にあった税・財政・社会保障の一体改革について少し触れましたが、今回は成長の実現に向けた6つの戦略に触れてみます。
そもそもその6つとは、
1、環境・エネルギー大国戦略
2、健康大国戦略
3、アジア経済戦略
4、観光立国・地域活性化戦略
5、科学・技術立国戦略
6、雇用・人材戦略
です。
1については良いんじゃないですか。去年の提言の結果、いろいろな補助金が出るようになりましたからね。産業が発展する初期段階にはどうしても開発コストが掛かるので、その分の負担を補助金を通してすると、裾野が広がってコストも下がり、競争力が出るんでしょうね。それはそうだと思うし、環境・エネルギーがターゲットにあるのはいいんでしょうね。
それ以外ですね。この先は独断と偏見で書きますが、書いてある内容で面白いなと思ったのは、成長するアジアとの協力関係を強化するための現地でのインフラ投資を助けることと、日本が技術的優位性を有する分野での国際標準化の推進、ストック重視の住宅政策への転換、海洋資源開発、女性の社会進出を助けるための保育政策の見直しですね。
悩んだのは道州制と物流・港湾整備の話。
大事なものをいっぱい見落としているかもしれませんが、あとは記載しなくてもいいかもしれないですね。テーマとして重要じゃないと言ってるわけじゃないですよ。どうも書いている内容が目的の結果を導き出すように思えないだけです。もちろん、見落としているものや勘違いしていることはたくさんあると思いますが。
どうかと思ったのは、アジアとのヒト・モノ・カネの流れの話とイノベーションの話。そもそもアジアにいる人間が言うのもなんですが、経団連の書き方だとヒト・モノ・カネの流れを日本で倍増さえるための規制緩和をするとあるのですが、どう読んでも国民に資する話が見つからないんですよね。アジアでの未整備のインフラ投資を日本が助けるのはいいですが、それ以降のヒト・モノ・カネを交流して、なぜ国民にプラスになるのかが分からない。
海外からの直接投資が増えて雇用機会が生み出されること、一部の労働不足を補うこと(と言っても今は失業率も高いし、フリーターの人も多いですが)、優秀な外国人が日本で起業すること等々、あるにはあるんだと思いますが、日本のハードルは高すぎますね。
この成長戦略にも書いてあるように、選択的・戦略的に優秀な人材を日本に開放するのは必要だと思いますが、それがどう日本人のためになるかということですね。今でもホントに優秀な人材は日本に入って来れるわけですよ。その優秀の枠を広げると、ホントに日本人のためになるのかと。
その日本人のためになるのかということが気になってるんですよね。もちろん、これを作った人も真剣に考えているんだと思うんですが、普遍主義的な匂いを感じるんですよね。経済合理的であることは良いんですが、でも必ずしも、それを推し進めることだけが日本のためになるのではないような気がするんですよね。
もう一つのイノベーションの話は、書いてあるような施策でイノベーションが生み出されるかどうかが分からないんですよね。僕が単純な金融屋さんだからそう思うのかもしれないですが、イノベーションが成功するためには、そのアイデアにお金をつける仕組みがあるかどうかだと思うんですよね。
経団連の主張するやり方というのは、理系的な技術的なものにベースを強化しましょうという話で、それ自体には反対じゃないです。じゃあ、それがイノベーションにつながるのかと言われたら、そうだとも言えるし、違うとも言える。経団連の話はイノベーションというより、ものづくり立国をしましょうと言っているんだと思うんですよね。あるいは、ものづくりの再強化。それだと、そういうテーマにした方が良いと思いますけどね。
そこにはイノベーティブな発見がたくさんあるわけではないと思うんですよ。それよりも、今のものより一歩先のものを追求してるんだと思うんですよ、基本的には。それはそれで素晴らしいことで、それが日本のあり方の一つだと思うんですよね。
ちなみに、途中で書いた物流・港湾整備は必要だと思っています。スーパー港湾構想とかもいいと思います。ただ、書く必要があるかどうかと思っただけです。もう一つの道州制ですが、もともと地方共同体の規模を大きくして、予算を柔軟に使えるほうが良いと思っているので、道州制には賛成だったのですが、今の流れの中で行くと、都道府県の上に道州を置くだけだと思うんですよね。都道府県を廃止できないんだったら、道州制はやめた方が良いんじゃないかと思っています。