アメリカからの牛肉輸入制限を緩和する話を始めたんですね。外圧と言えば外圧だけど、もう少しだけ条件を緩和した方が牛肉の値段も安くなるので、その方がいいんじゃないでしょうか。
詳細はリンク先の産経の記事を参照して下さい。
現状の輸入条件のメインは生後20ヶ月以下ですよね。実はここにはトリックがあります。多くのアメリカの畜産業者は牛の正確な誕生日を把握してないんですね。だとすると、アメリカの牛肉はほとんど輸入できなくなるのですが、実は肉の成熟度を測ることで、その月齢チェックを代替しています。
そのレベルというのがA40なのですが、この基準を使うと、21ヶ月齢以上のものはほとんど含まれなくなります。ところが、18-20ヶ月齢のものの多くも、この基準を使うとはじかれてしまいます。そうすると、日本向けの牛肉というのは極めて肉質の良いものだけになり、量も少なく、値段が高くなるわけですね。
ところがこの制限をA50にするとアメリカの大部分の牛肉が輸入可能になります。A50だと21ヶ月齢以上のものも含まれますが、24ヶ月齢未満がほとんどになるでしょう。その次のランクはA60ですね。アメリカの主張は30ヶ月齢未満ということですが、A60まで許可して欲しいということなんでしょう。ただ、実際問題としては、A50が認められると、問題の大部分は解決します。なぜなら、ほとんどの米産牛肉が輸入できるようになるので。
アメリカが主張している30ヶ月齢未満というのは、国際的に統計的に使われている基準です。要するに、統計的にはその月齢以下であれば、BSEを発症している危険性は低いということです。日本の規準の20ヶ月未満というのは、その月齢未満の牛はBSEを発症したことがおそらくないんです。
アメリカはいい加減なところがありますが、日本の0を追求する姿勢も厳しすぎますよね。その結果として不必要にコストが上がったりするわけです。今回の例だと、そもそも20ヶ月齢の牛肉と厳しい条件の下、それを確率的にほぼ0にするためにA40を基準にして、結果として多くの18-20ヶ月齢の牛肉も輸入できなくしてるわけですね。今回はA50くらいなら認めてもいいんじゃないですかね。日本の牛肉コストは下がるので、間違いなく国民に利するものです。それでも世界的には一番厳しい規制の方ですよ。
このことをしっかり説明すると、日本人ならきっと理解できると思います。ろうそくを持ってデモをすることはないと思います。
それから折角アメリカと交渉するので、条件を緩和する代わりに、これをバーターに使って、違う交渉に活かせればベストですね。