母親とSkypeで何気ない会話をしていて、来年は今の現場が終わったら仕事辞めようかな
と言った。
僕の意見としては、家に閉じこもっているのが嫌で、仕事が楽しいなら続ければいいし、
そうでなければ辞めればいい。
自由だと思うと言った。
自分の家はさほど貧乏ではないと思っていたし。
そもそも、子供である僕らが学費等においても、無駄なお金を使わなかったことも経済的に
苦労しなかった理由かもしれない。
事実であるが、持って生まれた頭の良し悪しで必ず教育に費やすお金が増減するので、そういった
意味では僕らはコストパフォーマンスが良かったと思っている。
あと、身体も比較的健康だった。
母親は仕事は楽しいと言っていたが、女性では最年長だし、皆が辞める時に挨拶にやってくる。
若い子の方が先に辞めさせられていく姿を見て、少し気にしているようだった。
僕はその若い子と母親が一緒に働いているところを見たことがないので、若い子がどれだけ使える
のかは分からない。
同等の作業が出来るのなら長い間居る母親の方が強いだろう。
ただ、年齢が高いからその判断も鈍るけど。30代、40代なら間違いなく長く居る方だろうな。
僕も若い子と仕事してて、確かに優秀な人もいるけど、若いとか年取ってるとか関係なく、
僕の働いてる状況のレベルだと比較的使えない人が多いので、単純に使えないから切られるんだろうな。
僕の仕事をする上での判断基準、そう。面白いとか面白くないとか。
母親の判断基準は別の処にあることには気付いていた。
だって、そうじゃないか。
もっと前に母親が仕事を辞めるべきだと思うタイミングがあった。
無理をするな。もういいじゃないかと言った時があった。
それでも辞めずに仕事をしていた。
母親の仕事を続けるかどうかの判断基準は何か。
言葉には出してないけど、僕ら子供が働き出して、独り立ちできるということだったんだろう。
分かっていたことじゃないか。
そして、来年から妹が長い学生時代を終えて、働くことになる。
針の穴を通すような難しい試験に何度もパスして、初任給から僕の現在の給料を上回って
くるだろう。
すべての試験をパスしなければ、何度でもチャレンジし続けなければならない過酷な状況を
見事クリアしてくれた。
称賛するしかない。
最後までクリアできるかどうかも、神のみぞ知るところだっただろう。
僕は信じてたけどね。
そのような状況で母親が仕事を辞める訳は無かった。
それで今日、来年は仕事辞めようかなと言ったので、何だか涙が出てきた。
もう、オッサンで涙もろくなってるんだろうけど、ありがたくて仕方なかった。
僕のただの勘違いで、そこまで考えてないのかもしれないけど。
もしかしたら、仕事が好きだから来年はコロッと考え方も変わって働いてるかもしれないけど。