親にも上司にも恥をかかす事なく素直に帰って行った次男。

京都までの車の中での居心地が悪いであろう彼の事を思うと、実に切なく、私は帰宅する際に接触事故を起こしてしまった。

雨降りの夕方は良く見えないが、右折の際に何故か左側をよく見ていなかったようで、ほとんどが私のミスによる事故だった。

幸い、お互いに怪我は無く、私が相手の車の修理代を負担する事で決着した。

私は動揺していたのだろうか?

それにしても今回は、交通違反や交通事故をまとめてもらったものだ _| ̄|○

一人の息子が欠けただけでその夜は寂しい夕食となった。 本当に次男がこの家に12日間も居たとは思えないくらいに思えた。

長男の時もそう思ったが、半端な期間を家で過ごしているより、ずっと居ない方がより寂しさを感じないものだとつくづく思った。

今日も遅くまで仕事だろうと、返事を期待しないメールを送っておいた。

「辛いかも知れないけれど、男としてのけじめをつけてきなさい。 父さんを恨んでも良いよ。 いつも思っています。  父 」

短いメールを打った。

その夜は寝酒を飲みながらぼ~っとテレビを観ていたが、午前1時前に携帯が鳴った。 次男からだった。

今日はあれからずっと仕事だったが、12時頃には上がらせてもらったのだという。 ムッシュと呼ばれる関西地方の業界のドンに呼びつけられて、かなりきつく絞られたそうだが、自分がいかに期待されていたかを知らされたそうだ。

そういった言葉は彼の遣り甲斐をまた刺激してくれることだろう。

「ムッシュ」 とは 「親父さん」 という意味だ。 何か悩み事があったら、いつでも私に相談しに来なさいといってもらえたのだという。

私が

「もうがんばらなくても良いよと言ったので、がんばれとは言わないよ」

というと

「分かった。 でもがんばってみる」

と応えた。

その言葉を聴いて、この子を育ててきたことに間違いはなかったと確信し電話を切った。

こういったときの親は嬉しい。

事故