次男をまるち家で飼うようになって12日目の朝をを迎えた。

この日の11時前に私の携帯電話が鳴った。 相手を確認してみると次男の勤める会社の人事部のチーフからだった。

驚いたことに、電話の電話帳に入力した覚えが無いのに、相手がデジタル回線を使っているのか○○会社管理部と表示されるのだ。

電話の内容は、今から副総料理長と一緒にまるち家まで行きますとの事だった。

えっ? 本当? 本当に来ちゃうの?

こうなった以上はそちらから迎えに来てくれない限り、本人は帰らないでしょうと啖呵を切った覚えが確かにある(汗)

でも、まさか・・・・・・(@_@;)

あっらぁ~えらいこっちゃぁ!

急いで妻を呼び夫婦で急遽鳩首会談を始めた。

まず、お土産をどうするかを決めて、何故か夫婦二人でわざわざ店まで買いに走った。 次男がいつもお土産に買って帰るものだが、地元の名物の割にはなかなか美味しいと評判のものだ。 

その帰りに亡父の墓参をし、次男の行く末をつい頼んでしまった。

 何故か、今日は気持ちが浮ついているらしく冷静さが消えているようだ。 自宅に着くと、まるち家の土間応接に暖房をいれなくてはならない。

その部屋だけはわざとにエアコンをつけなかったので、夏は涼しいのだが冬は厳しい寒さになるのだ。

なので炭を熾して火鉢に移し、窓側をオイルヒーターで温まるように段取りをした。

お客さんに出すお茶は京都一保堂の煎茶。 お茶菓子はもらい物だが、美味しい秋田の和菓子がたまたま有ったのでそれを出す事に決めた。 これで、一応はまるち家の美学を貫くことが出来たように思う (笑)

そうやって夫婦とも落ち着かない時間を過ごしていたが、果たして予想よりかなり早い時間に車が到着し、午後2時前には黒塗りシャコタンスモーク張りのこわ~いセルシオが玄関前に横付けされた。

寝ていた次男を少し前に起こしておいたが、布団から覗いた顔からはかなり驚いた様子が伺えた。

そりゃぁそうだわな。でも 一応、謎かけはしておいたからな。

総料理長と副総料理長が迎えにきたら京都に帰るか? と聞いてみたところ、怖いから一応帰るかなぁ~と言ったような事は覚えている。

それで私の術中にハマったぞ次男君。

ここで次男の帰るきっかけを作ったと思ったので、私の描いた絵図ではすんなり事が運ぶはずだった。

しかし、現実の展開は違うのだから世の中は全く持って面白い。

続く