また、幼い何の罪も無い子どもが殺された。 たった11ヶ月しかこの世に居れなかった。

そばにいた3才の姉も顔を切られたというが、母親の心中を思うと遣る瀬無くなる。

彼女は生きている限り、罪を背負って生きて行かなければならないだろう。

昔、この国がまだまだ豊かではなかった頃は、ショッピングセンター等存在しなかったので、何処の誰だか分からない人間は周りにいなかった。

自分たちの周りで一番人の集まる場所は学校かデパートだった。それも親に手を引かれて日曜日にしか連れて行って貰えなかったので、必然的に玩具売り場か食堂にしか行った事がなかった。

日常の買い物は近所の肉屋、魚屋、八百屋などで十分に足りた時代。 買い物カゴを下げて徒歩で済ませられたものだった。 そう、自分の見える範囲だけで生活が済んだので、見知らぬ人間の存在はすぐに分かったのだ。 そんな未知の人間にだけ心を配っておけば大抵は安全だった。

今はどうだろう? 人は電車や自動車などを使ってわざわざ遠方まで買い物に出掛ける。

友人や知り合いや家族と一緒に行かなければ、周りは見知らぬ他人だらけだ。

自分に対して危害を加えるかもしれない他人の中でも、自分だけは安全だと無意識に暮らしている。

見知らぬ人間だから自分も相手に対して関心は無いし、相手も多分そうだろうと勝手に思い込んでいるからだ。

しかし、今の世の中はそうではない。

ストーカーが存在する。 自分の知らない世界で他人が勝手に自分を取り込もうとする。

暴行魔や殺人鬼や誘拐魔達がまだまだこの世に存在している。 ふとした瞬間に自分の背中でナイフを振り挿頭して人間がいるかもしれないのだ。

安全は無料ではない。