MSクラウドで利益増 根拠は | マルチニーズシステムのブログ

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ITmedia エンタープライズ 9月7日(月)17時25分配信

 日本マイクロソフトが2015年9月2~4日の3日間、最大規模の新プライベートイベント「FEST2015」を都内ホテルで開催した。新イベントはこれまで、パートナー企業、ユーザー企業、技術者に向けて個別に開催していたイベントを統合したものだという。

 この中で、初日の平野拓也社長による基調講演、および同日行われたパートナービジネス担当の高橋明宏執行役常務の記者会見から、同社が今、最も注力しているクラウド事業の勝負どころとして挙げた話を、筆者なりにピックアップして考察してみたい。

 まず、平野氏の話で最も印象深かったのは、「マイクロソフトのクラウドサービスを適用したパートナー企業はもうかる」と訴えたことだ。同氏はその根拠をIDCに委託したグローバル調査による数値で示した。

 それによると、まずクラウド事業の売り上げ規模が全体の50%以上を占めるパートナーは、50%未満のパートナーに比べて、新規顧客の獲得数が1.3倍、売り上げの増加率が1.4倍、利益の増加率が1.5倍になったという。

 また、ビジネスモデルからみた平均マージンとしては、従来のサーバやソフトウェアを対象とした再販が20%、システムインテグレーション(SI)が35%なのに対し、クラウドにおけるマネージドサービスが45%、さらにパッケージ化されたアプリケーションをクラウドサービスとして提供すれば65%となり、「クラウドへシフトしたパートナーの収益率は非常に高いことが分かった」(平野氏)という(図参照)。

 ただ、従量課金をベースとしたクラウド事業は、製品を販売した際に一括して売り上げが立つビジネスモデルではないので、クラウドへシフトすればするほど、一定期間は売り上げも利益も落ち込む。そしてその一定期間を乗り越えるためには、クラウドの仕組みづくりに投じた先行投資も含めて、採算点を越える顧客数を確保する必要がある。

 そこから先、顧客数を増やしていければ、ストックビジネスとして安定した収益基盤を築けるが、逆に顧客数を確保できないと、いつまでたっても赤字状態が続く事態になる。

 そう考えると、平野氏が語った「売り上げ増加率1.4倍、利益増加率1.5倍」という数値は、筆者には疑問に映ったが、高橋氏にその点を問うたところ、「クラウドへいち早くシフトしたパートナーはすでに数年経過しており、着実に顧客を獲得して収益を上げている」として、調査結果は実態を表しているとのことだ。

●三位一体のパートナーエコシステム構築へ

 以上のように、平野氏は「もうかる」ことを強調したうえで、マイクロソフトによるパートナー支援として、「クラウド事業の立ち上げ支援」「販売から利用価値重視へ」といった施策を説明した。

 「クラウド事業の立ち上げ支援」として注目されるのは、「Cloud Solution Provider(CSP)」という施策のさらなる推進だ。CSPは米国本社が2014年7月から実施しているパートナープログラムで、マイクロソフトのクラウドサービスにパートナーが独自の製品やサービスを付加してユーザー企業に提供するというビジネスモデルである。日本マイクロソフトも今春から本格的に取り組んでいる。

 このCSPについては、2015年3月2日掲載の本コラム「Microsoftが仕掛けるクラウドパートナー戦略の勘所」で詳細に解説しているので参照いただきたい。

 また、「販売から利用価値重視へ」という点では、新たなインセンティブの仕組みを明らかにした。具体的には、これまでのクラウドサービスの契約における「販売量」に加えて、契約したサービスが継続して利用されているかどうかを示す「使用量」もインセンティブの対象とした。「継続して使用されていることに利用価値がある」(平野氏)というのが、新たなインセンティブの仕組みにした理由である。

 これまで取り上げてきた「もうかる」ことやCSPの展開、新たなインセンティブの採用は、まさにマイクロソフトがクラウド事業の勝負どころとして、今回のイベントで掲げた点だと筆者は見る。つまりは、「パートナーエコシステムの拡充」がポイントだ。

 さらに、そのパートナーエコシステムの拡充という観点から、上記の取り組みにも増して、マイクロソフトがクラウド事業の勝負どころと捉えている動きが、今回のイベントで見て取れた。それは、冒頭で説明したように、今回のイベントをパートナー企業、ユーザー企業、技術者に向けて統合した形にした、まさにその理由にある。高橋氏がその理由について、次のように語った。

 「マイクロソフトは、お客様であるユーザー企業や技術者の方々も、クラウド事業におけるパートナーエコシステムのパートナーであると捉えている。言い換えると、パートナー企業、ユーザー企業、技術者が三位一体となったパートナーエコシステムこそが、マイクロソフトのクラウドサービスの最大の強みになると確信している」

 さらに言い換えると、三位一体のパートナーエコシステムを築き上げることが、マイクロソフトのクラウド事業の最大の勝負どころといえよう。今回のイベントには、そのメッセージが込められていたのである。同社がその三位一体ぶりを今後どのように拡充していくか、注目しておきたい。

[松岡功,ITmedia]