価格競争は一段落?MVNOの新戦略 | マルチニーズシステムのブログ

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年度末に突入し、MVNO各社が、値下げや利用可能なデータ量の増量を相次いで発表している。DMM mobile以外の実施日は4月1日。既存のユーザーは自動的に新料金、新データ容量が適用される見込みで、特別な手続きなどは不要だ。今回は、主要MVNOの新料金プランを振り返るとともに、値下げの背景と今後の見通しを解説していきたい。

●4月1日から主要MVNOが一斉に容量アップ、値下げの実施も

 料金プラン改定の口火を切ったのはIIJの「IIJmio」。「ミニマムスタートプラン」を2Gバイトから3Gバイトに、「ライトスタートプラン」を4Gバイトから5Gバイトに、「ファミリーシェアプラン」を7Gバイトから10Gバイトに拡大する。MVNOのシェア1位となるNTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」も、これに追随した。IIJと同日の4月1日に、料金を据え置いたまま1日もしくは1カ月に使えるデータの容量を拡大する。70Mバイト/日が110Mバイト/日に、100Mバイト/日が170Mバイト/日に、2Gバイト/月が3Gバイト/月に、4Gバイト/月が5Gバイト/月に変更されるなど、全プランに改定が入る格好だ。

 このほか、ニフティの「NifMo」も「2GBプラン」を「3GBプラン」に、「4GBプラン」を「5GBプラン」に、「7GBプラン」を「10GBプラン」に改定。500Mバイトの「データおかわり 0.5GB」を4月、5月と1回無料にするキャンペーンも実施する。ソネットは「PLAY SIM」の容量を拡大。同社のWebで販売されるプランは、80Mバイト/日が140Mバイト/日になる。ソニーストアやイオンで販売するプランは料金体系が異なるが、これもデータ量を増量する見込みだ。

 ワイヤレスゲートも「920円プラン」を2Gバイトから3Gバイトに増量。「1380円プラン」「2480円プラン」も、それぞれ4Gバイトから5Gバイト、5Gバイトから8Gバイトになる。また、フュージョン・コミュニケーションズの楽天モバイルは「2.1GBパック」を「3.1GBパック」に、「4GBパック」を「5GBパック」に、「7GBパック」を「10GBパック」に改定する。

 これに対し、やや変わった切り口で改定を打ち出したのがU-NEXTの「U-mobile」。データ通信専用の「LTE使い放題」や1Gバイトプランに変更はないが、データ専用と通話プラスの3Gバイトは5Gバイトに、通話プラスの1Gバイトは3Gバイトに拡大する。さらに、通話プラスに「LTE使い放題2」を新設。1年契約がつくものの、通常より料金が250円安くなる格好だ。

 容量増加が多い他社に対し、値下げで勝負をかけてきたのがDMM。同社は「データSIMプラン」と「音声SIMプラン」の両方に2Gバイトのプランを新設。1Gバイト、2Gバイト、3Gバイト、5Gバイト、7Gバイト、8Gバイト、10Gバイトというきめ細やかに設定された7種類の容量からプランを選択できるようになった。合わせてデータSIMプランは3Gバイト以上を、通話SIMプランは全容量を値下げした。他社が対抗してきたときは、それに追随する意向も示している。プランの新設および値下げは3月26日から行っている。

●値下げの背景の「接続料」も底打ち傾向に、価格競争はひと段落か

 では、なぜこの時期に相次いでMVNO各社が料金プランを改定するのか。ここで挙げたMVNOはすべてドコモのネットワークを使っている。つまり、ドコモの接続料が下がっていれば、MVNOの支出が少なくなる。その分帯域を増やせば容量を拡大しやすくなるし、そのままユーザーに還元すれば値下げにつながる。

 2014年度の接続料をドコモに確認したところ、レイヤー2接続で10Mbpsあたり94万5059円になることが分かった。2013年度は123万4911円で、28万9852円の値下げになる。まだ値下げや増量を発表していないMVNOもあるが、ここまで多くのMVNOが値下げや増量を行っていれば、競争上、追随せざるを得なくなるだろう。

 一方で、現状だと、データ通信のみ料金プランは月3Gバイトが900円台という相場ができつつある。ユーザーのデータ利用量は徐々に上がっているとはいえ、一部のヘビーユーザーを除けば3Gバイト以下が大半というデータが多い。ユーザーにとっては、もはやどこを選んでも料金は十分安いという状況になったというわけだ。これ以上の容量拡大はMVNOの収益悪化にもつながる恐れがあり、価格競争はそろそろ打ち止めになるかもしれない。

 価格競争がひと段落するという見通しには、もう1つ根拠がある。ドコモの接続料の低減率がそれだ。2014年度の接続料を2013年度と比較した際の低減率は約23.5%。2008年以降で過去2番目に低い数値となっており、MVNOの一部に波紋が広がっている。接続料の低減率が予想を下回ったことを受け、IIJは業績の下方修正を発表。約12.6億円、営業利益が予想を下回るという。接続料は過去の実績で算出され、MVNOは低減率を織り込んだ数値で業績予想を組み立てる。その差分が、IIJを直撃した格好だ。

 接続料は、設備の構築にかかった費用を、トラフィック(総帯域幅)で割ることで算出している。ドコモによると、LTEの設備増強に対してトラフィックの伸びが小さいことが今回の接続料につながったという。スマホの普及率が50%を超え、買い替えのペースは以前より緩やかになっている。これに対し、設備は150Mbps対応の基地局の増強を行いつつ、LTE-Advancedを導入するなど、2014年度は急ピッチで利用環境が整備されてきた。

 接続料をどのように織り込んでいるのかにもよるが、一般的にドコモから帯域を購入している量が多い大手MVNOほど影響を受けやすくなる。IIJ以外にも、NTTコミュニケーション、日本通信、ビッグローブなど、ユーザー数の多い上位のMVNOに与える影響は小さくなさそうだ。スマートフォンへのシフトが一段と緩やかになり、ユーザーの使い方が大きく変わらなければ、低減率は今後も低下する可能性が考えられる。2014年度の動向だけで判断するのは早計かもしれないが、少なくとも、低減率が大幅に上がる要素は以前より減っている。

●価格以外の差別化が求められる

 こうしたビジネスモデルの構造上、価格以外での競争軸を打ち立てることが、MVNOがクリアしなければならない喫緊の課題だ。各社がサービスやコンテンツといった点で差別化しようとしているのも、そのため。例えば、上に挙げたMVNOでは、DMMやU-mobileが自社の動画サービスで利用できるポイントを付与し、コンテンツとの連携を図っている。既存の会員基盤やポイントとの連携という点では、楽天モバイルも積極的だ。

 また、日本通信の「VAIO Phone」や、ソネットの「Xperia J1 Compact」のように、端末と通信サービスをセットで提供し、差別化を図るのも戦略の1つといえるだろう。MVNO向けの端末はまだMNO向けと比べ、ケタが1つ違うほど規模が小さい。そのため、当初は調達に苦労も伴ったが、ここにきて上記のVAIO PhoneやXperia J1 Compactのように、日本メーカーもMVNO市場に参入し、端末の幅には広がりが出ている。マウスコンピューターやfreetelがWindows Phoneの投入を予告するなど、OSにも選択肢が生まれそうだ。2015年5月に始まるSIMロック解除の義務化を控え、そのほかのメーカーも端末を投入する予定。MVNO向けと決定したわけではないが、中国メーカーのLenovoも、スマートフォン事業の展開を明言した。

 ネットワークの質やバラエティで差別化を図るのも、キャリアならではの手法だ。ケイ・オプティコムのmineoは、au回線で他社との違いを打ち出している。KDDI自身もKDDIバリューイネイブラーを設立しているが、現状ではまだまだ少数派。端末が少なく、接続料がドコモより高いという弱点もあるが、希少性は出せている。IIJの法人向けプラン「定額プランL」のように、ドコモとKDDIの両方から回線を借り、データ量をシェアできるのもMVNOらしい攻め方といえるだろう。もちろん、快適な速度が出るのは大前提。MNOと同様かそれ以上に、MVNOでもスループットの高さが鍵になることは間違いない。

 「格安SIM」「格安スマホ」というキーワードとともに火がついたMVNOだが、生き残るためには、その“格安”から脱却することが求められそうだ。

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