4Gの真の姿?ドコモの新LTE | マルチニーズシステムのブログ

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THE PAGE 3月5日(木)7時0分配信

 NTTドコモは、従来のモバイル通信サービス「LTE」を高速化させた「LTE-Advanced」(サービス名:PREMIUM 4G)を3月27日に開始します。LTEが誕生した時も、WiMAXが誕生したときもそうでしたが、このような新しい方式の高速通信サービスが誕生すると、世の中では「最高速度」にばかり注目が集まりがちです。しかし、ユーザーにとってのメリットはそれだけなのでしょうか?NTTドコモが行った発表会を取材して探ってみました。

次世代の高速通信規格「LTE-Advanced」とは

 ひとことで言うと、LTE-Advancedはその名の通り、LTEの“進化版”と言えるものです。私たちが普段スマートフォンやタブレットなどで利用しているモバイル通信サービスの規格「4G LTE」は、厳密には「4G(第4世代)」ではなく、4Gに盛り込まれる技術スペックの一部を実現した「3.9G(第3.9世代)」にあたる規格。2010年12月に国際電気通信連合が「3.9Gを4Gと呼称してもいいことにする」と取り決めたために、一部の事業者はLTEのことを「4G LTE」と呼んできましたが、LTEに様々な高速・大容量化技術を盛り込んだLTE-Advancedが“4Gの真の姿”と言うことができるのです。もちろん、LTEとLTE-Advancedは互換性があるので、従来のLTE端末はLTE-Advancedのエリア内でも使用することができますが、LTE-Advancedのメリットを利用するためには専用端末が必要です。

 では、LTE-Advancedにはどのような技術的な特徴が盛り込まれているのでしょうか。NTTドコモのLTE-Advancedを例にとると、「キャリアアグリゲーション」と「高度化C-RANアーキテクチャ」という2つのテクノロジーがデータ通信の高速・大容量化に大きな役割を果たしています。

複数の電波を束ねてデータ通信を高速化する「キャリアアグリゲーション」

 複数の異なる周波数の電波を束ねて通信を高速化するキャリアアグリゲーションは、KDDIが既にLTEサービスの中で先行提供を開始しているため、ご存じの方も多いのではないでしょうか。具体的には、スマートフォンやタブレットが今まで1つのひとつの周波数の電波を使ってデータの送受信を行っていた(シングルバンド)に対して、キャリアアグリゲーションではひとつの端末に対して複数の電波を同時にデータの送受信に使うことで、送受信の効率化、高速化が可能になります。また、複数の電波を同時利用することで、どちらかの電波が混雑していた場合にはもう一方の電波を優先的に使ったり、混雑しているエリア内でひとつの周波数に掛かる通信負荷を分散させたりといった利点も。携帯電話各社が保有している周波数帯域を効率よく運用して、データ通信の高速化を実現することができる技術です。

ドコモはLTEサービスのために「800Mhz」「1.5Ghz」「1.7Ghz」「2GHz」という4つの周波数を使い、LTEサービスを提供してきましたが、今度提供を開始するLTE-Advancedでは、4つの周波数を800Mhz周波数帯(受信時最大75Mbps)と1.7GHz周波数帯(受信時最大150Mbps)の組み合わせ、1.5GHz周波数帯(受信時最大112.5Mbps)と2GHz周波数帯(受信時最大112.5Mbps)の組み合わせという形で2つの束にして、受信時の最高通信速度225Mbpsでユーザーに提供するとしています。キャリアアグリゲーションの技術は、理論的には3波、4波を束ねて更に高速化することも可能なので、今後の動向に注目したいところです。

混雑時にも快適なデータ通信を提供する「高度化C-RANアーキテクチャ」

 一方、「高度化C-RANアーキテクチャ」とは、スマートフォンがデータ通信をするための電波を発信する基地局(アンテナ)を制御する新しい技術で、キャリアアグリゲーションを効果的に運用するためにも重要なものです。

 従来の通信方式は、通信エリア内に配置されている基地局は独立して制御を行い、基地局の発信する電波がお互いに干渉しあわないようにエリア整備が行われてきました。一方、LTE-Advancedで導入される高度化C-RANアーキテクチャでは、エリア内に配置された複数の基地局の制御を一元的に管理。加えて、広い範囲に電波を届ける広域基地局(マクロセル)のカバーエリア内に、混雑する場所にピンポイントに電波を届ける狭域基地局(アドオンセル)を細かく配置して、マクロセルとアドオンセルでキャリアアグリゲーションも行います。これにより、基地局同士の電波干渉を抑えながら、エリア内の混雑状況に合わせて基地局が発信する電波を柔軟に制御することが可能になり、通信キャパシティの拡大とユーザーひとりあたりの通信速度の十分な確保、エリア内で電波が途切れたりすることを防止する効果が期待できるのです。

データ通信の高速化の目的は、混雑エリアにおける快適性の確保

 こうした最新技術の投入によって、LTE-Advancedは持て余してしまうのではないかと思う程の高速データ通信を実現しますが、そのメリットはただデータ通信が速くなるというものだけではありません。混雑エリアのデータ通信の快適性を高めるという大きなメリットがあります。

 例えば、現在多くの人が使っているLTEで、受信時最大150Mbpsという理論上の最高速度を実際に体験した人はいないのではないでしょうか。それは、基地局が発信する電波を、同じ時間にその基地局と通信しているほかのユーザーと基地局の能力=実現できるデータ通信速度を共有しているから。大都市の駅周辺など多くの人が集まる場所では、同時に電波を利用する人が多すぎるために、ユーザーひとりが利用できるデータ通信速度はどんどん低下します。携帯電話のデータ通信が「ベストエフォート型」と呼ばれるのはこのためです。携帯電話会社では、この電波混雑による通信速度の低下を解消するために、基地局を混雑エリア内に細かく配置して、基地局ひとつあたりの利用ユーザー数を下げる努力を続けてきました。

 しかし、今後更にユーザーのデータ通信利用が拡大すると、現在のLTEの能力ではニーズを処理しきれなくなってしまいます。そこで、キャリアアグリゲーションや高度化C-RANアーキテクチャといった技術によって通信インフラが持つ理論上の性能を高め、混雑しているエリア内でもユーザーが不便に感じないデータ通信速度を提供していこうとしているのです。もちろん、理論上の最高速度が上がることで、高解像映像のリアルタイム配信などモバイル通信の利用シーンの拡大も期待できます。しかし重要なのは、これからのデータ通信ニーズに対応できるだけのキャパシティを備えた通信インフラを整備することなのです。

 ちなみに、ドコモのLTE-Advancedは3月27日に開始しますが、開始時の対応端末はモバイルルーターのみで、対応スマートフォンの登場はもう少し先になる予定とのこと。そして、KDDIやソフトバンクモバイルも今後LTE-Advanced のサービスを本格的に導入していくことになるでしょう。LTE-Advancedの登場によって、混雑する繁華街や駅、電車の中などでどれくらいデータ通信が快適になるのか、その効果に期待したいところです。

(井口 裕右/オフィス ライトフォーワン)