スマートフォン(高機能携帯電話)の普及に伴い、契約・解約を巡って国民生活センターに寄せられる相談が急増している。
販売代理店では通常、端末と付属機器、アプリなどをセットで販売しているため料金体系がわかりにくく、契約した覚えのないアプリ料金などを請求されるケースが目立つという。総務省は「高機能という特性に見合った説明がなされていない恐れがある」として、店側の説明義務を定めた法令の強化も視野に対策に乗り出した。
今年3月、販売代理店を訪れて携帯電話からスマートフォンに買い替えた大阪府門真市の女性(67)は「説明があまりにも不十分だ」と、怒りが収まらない。
店員から「今なら安い」「今すぐの支払いは不要」と勧められ、最新機種を購入。端末代とデータ通信料などとして2年間、通話料とは別に毎月約6900円を払えばいいと説明された。イヤホンとデジタル画像用フォトフレームも「おつけします」と渡され、景品だと理解して受け取った。
翌月、銀行の引き落とし額を見て驚いた。覚えのない「天気予報」などのアプリ料金が発生。イヤホンなどの代金も分割で請求され、2年間毎月、約6900円に加えて約8000円を支払う契約になっていた。女性は「店員には電話機能しか使わないと言ったのに」と、不信感を隠さない。
国民生活センターによると、スマートフォンの契約・解約を巡る相談件数は調査初年度の2009年度の440件からうなぎ登りで、12年度は5187件。「不要なサービスや機器を購入させられた」というのが典型だ。近年、1万3000件前後を推移していた携帯電話全体の契約・解約を巡る相談も、12年度は1万5000件を突破した。
◆販売店に奨励金
電気通信サービス各社でつくる業界団体「テレコムサービス協会」によると、背景には、携帯電話会社やアプリ開発事業者などが新商品の販売を促進するため販売代理店に支払う「奨励金」の存在があるという。
代理店は、値引きしても全体では利益が増えるよう、奨励金の対象機種やサービスを組み合わせて販売する。ある店の関係者は「極端に言えば、販売価格が赤字でも、奨励金の対象製品を多く売れば、店全体では黒字になる」と、セット販売のメリットを明かす。
消費者側から見れば、トータルで「割安」でも、不要なサービスを購入させられることにつながりやすい。同協会の明神(みょうじん)浩・企画部長は「店で『お得』と勧められるままに契約するとトラブルのもと。機能やサービス内容をしっかりと理解し、必要なものだけを購入することが重要」とアドバイスする。
電気通信事業法は、「(販売代理店などは)料金その他の提供条件の概要について、利用者に説明しなければならない」と定めている。国民生活センターへの相談急増を受け、国は新たな消費者保護の仕組みづくりを進めている。
有識者らでつくる内閣府の消費者委員会は昨年12月、総務省に対策を検討するよう要請。同省の研究会が今年7月にまとめた提言書は、「割引サービスの組み合わせが複雑」「高齢者など機器に不慣れな利用者にも、理解度に応じた説明が必要」などの課題を挙げた。
同省では今後、同法施行規則の改定などを検討し、契約時にアプリや付属機器も含めた支払いの内訳、数年間の月々の請求額を一覧表にするなど、利用者に分かりやすい形で説明する方法の導入を進める考えだ。
同省の担当者は「幅広い世代が利用する機器でもあり、容易に理解できる契約の仕組み、ルールを整備したい」としている。